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「ボクサーとして格が上がった」那須川天心、会心の3回TKO劇…元世界王者・飯田覚士がうなった“驚異のスピード”とは?「十分世界を狙える」
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byHiroaki Yamaguchi
posted2024/07/23 17:02
WBA世界バンタム級4位のロドリゲスに3回TKO勝利を収め、かめはめ波のポーズをとる那須川天心
相手のジョナサン・ロドリゲスは昨年11月に元WBA世界スーパーフライ級王者カリド・ヤファイ(イギリス)に右のオーバーハンドで1回KO勝ちして名を上げた。今年2月のWBA世界バンタム級挑戦者決定戦ではアントニオ・バルガス(アメリカ)に7回TKO負けを喫したとはいえ1ラウンドには得意の右でダウンを奪っている。サウスポーに対する苦慮が垣間見えたとはいえ、那須川はその相手の強打を完封したうえで圧倒し、パンチをまとめきってKO勝ちしたのだから価値がある。
バンタム級はこの日のメーンで指名挑戦者を相手に1回KO勝ちしたWBC王者・中谷潤人、WBA王者・井上拓真、WBO王者・武居由樹、IBF王者・西田凌佑と日本人ボクサーが世界タイトルを独占している。那須川は現在WBA7位、WBO10位、WBC12位。今回上位の世界ランカーに勝利したことでランキングをグッと上げてくることは間違いなく、世界が現実的に視界に入ってきたと言える。
飯田は言う。
十分世界を狙える実力はある
「ロドリゲス選手との戦いを踏まえても十分世界を狙える実力はあると思います。あとは(8回戦以上の)長いラウンドをやってないことと、経験ということだけ。ただ、デビュー2戦目の8回戦でフルラウンドやっていますからね。あの試合はスタミナを計算しながら慎重に戦っていました。6回戦だったら、もっと強引にでも行っていた可能性はありますから。今回の試合は10回戦でしたが、長いラウンドに対する不安がないからそこまで慎重にやらなくて良かったとも言えます。これからは(世界挑戦の)準備に入っていく段階になってくるのではないでしょうか」
早ければ次戦で地域タイトルへの挑戦に向かうことになるという。日本王座は同じ帝拳ジムのホープ、増田陸が保持しているため、東洋太平洋王座、WBOアジア・パシフィック王座になるだろうか。地域タイトルを含めて順調に勝っていけば来年内の世界挑戦が見えてくるに違いない。
圧倒的な処理スピードという武器を組み込んだ那須川のボクシングスタイル。世界の頂に向けて「本腰」を入れていく。