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「“アスリート妊婦”ってどうしたらいいの?」元なでしこDF岩清水梓が悩んだ“妊娠後の孤独”…「ずっと寂しかったんだ」気づいた本心 

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岩清水梓

岩清水梓Azusa Iwashimizu

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photograph byJFA/AFLO

posted2024/06/08 06:01

「“アスリート妊婦”ってどうしたらいいの?」元なでしこDF岩清水梓が悩んだ“妊娠後の孤独”…「ずっと寂しかったんだ」気づいた本心<Number Web> photograph by JFA/AFLO

2019年12月、妊娠休養期間の岩清水梓。この3カ月後に愛息が誕生する

 女子サッカー日本代表のドクターである土肥美智子先生とたまたまお会いする機会があり、先生から「JISSで、産前プログラムみたいなのがあるから来てみたら?」と声をかけてくれたのだ。JISSとは、日本のアスリートの多くがお世話になっている、国立スポーツ科学センターのことだ。

「産前プログラム!」

 まさかJISSに情報があったなんて。JISSに相談するなんて、頭に浮かびもしなかった。視界が一気に開けた気分だった。ずっと欲しかった情報! あぁ、うれしい!

 後日、JISSにうかがうと、土肥先生から、同じく女子日本代表のトレーナーで、私も以前からなでしこでお世話になっていた中野江利子さんを、産前産後のトレーナーとして派遣してもらえるよう、日本サッカー協会に頼んでみてはどうかという提案をされた。先生の話によると、まだサッカー選手の事例はないが、他競技の選手の事例を参考にできる、とのことだった。

一人でのトレーニングは心細いし、ずっと寂しかった

 そして今後また、サッカー選手からも同じ事案が出るかもしれないことも考えて、中野さんがJISSの先生と相談しながらトレーニングのメニューを作成し、定期的に私のトレーニングを見ることで、モデルケースにもなるから、とも話してくれた。

 すべてを手探りでやっていた私にとって、願ってもない提案だった。まず、識者に頼れることで不安から解放されるのが、本当にありがたかった。しかも、私の経験が誰かの役に立つかもしれない。そう思うと、ピッチを離れていても女子サッカーに貢献できることがあるんだとわかり、幸せだった。でもなにより、一番うれしかったのは、もう一人じゃなくなること。がんばる、とは思っていても、やっぱり一人だけでトレーニングするのは心細いし、ずっと、すごく寂しかったのだ。
<つづく>

#3に続く
「泣きたい。もういやだ」出産→復帰のはずが大ケガ…アイシング中に「抱っこー!」“ミニ怪獣”の息子に元なでしこDF岩清水梓は救われた

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岩清水梓
日テレ・東京ヴェルディベレーザ
国立スポーツ科学センター

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