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工藤公康がいま明かす“ソフトバンク最強時代”のウラ側「一瞬、選手に嫌われても構わない」「部屋にモニター6台」千賀滉大も耐えた“猛練習”の意図
posted2024/06/01 11:04
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph by
Yuki Suenaga
2015年から7年間、監督としてソフトバンクを率いた工藤公康。3度のリーグ優勝と5度の⽇本⼀という“黄金期”をなぜ築けたのか? モニター6台の仕事部屋で試合後研究、監督2年目の“ある失敗”……工藤公康がNumberWebインタビューで明かした「プロ野球監督のウラ側」。【全2回の1回目】
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ソフトバンクの監督を務めた7年間で5回の日本一と3回のリーグ優勝に導いた工藤公康氏。2020年にはプロ野球史上2球団目の日本シリーズ4連覇を成し遂げた。プロ野球90年の歴史上、日本一を5回以上果たした監督はほかに川上哲治氏(11度/在任14年)、森祇晶氏(6度/同11年)、水原茂氏(5度/同21年)しかいない。
孫正義オーナーが就任時に言ったこと
日本一忙しい監督。
それが黄金期をつくり上げた“工藤監督”の印象である。その理由は、レギュラーシーズン後もクライマックスシリーズから日本シリーズまで長く試合をしていたから、というだけではない。
「2015年に監督に就任した時、孫正義オーナーから『10連覇できるチームを』と言われました。巨人のV9を超えてほしい、と。その願いに応えられるチームを作らなきゃいけないと考えました」
ソフトバンクの監督になると、孫オーナーとはシーズン前後の激励会や年に数回の試合観戦の際、直に対話をする機会がある。工藤は「ビジネスの世界のことはよくわかりませんが」と前置きしながらも、常人の頭には浮かばないアイデアを出し、未来に起こりうることを見通して行動する孫オーナーの才力に圧倒されていたという。
工藤はプロ野球の監督も同じであると考えた。とりわけ大事にしたのが「先を見通すこと」だった。