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「スターダムでは置物だった」ロッシー小川はなぜ女子プロレス新団体・マリーゴールドを旗揚げした? いま明かす“分裂”の内幕「悪い親ですよね」 

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原悦生

原悦生Essei Hara

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posted2024/05/25 17:05

「スターダムでは置物だった」ロッシー小川はなぜ女子プロレス新団体・マリーゴールドを旗揚げした? いま明かす“分裂”の内幕「悪い親ですよね」<Number Web> photograph by Essei Hara

4月15日、新団体「マリーゴールド」を発表したロッシー小川。ジュリア、林下詩美を含む5人の選手がスターダムから移籍した

 会社を登記したのは3月1日、実際に動き出したのは4月になってからだ。旗揚げ戦は5月20日の月曜日、後楽園ホールに決めたが、「もし観客が入らなかったらどうしようと正直思った」という。

 4月15日に都内のホテルで記者会見も済ませた。小川はネット通販で買い求めたマリーゴールド色の黄色いスーツとトレードマークの帽子でそれに臨んだ。会見が始まる前に筆者が「ドン・キングになるつもり?」と声をかけると、小川は微笑んだ。

「自分の家を捨てて新しい家を…悪い親ですよね」

 旗揚げ戦のメンバーは当初、小川が思い描いていた陣容とは異なった。もっと多くのレスラーがスターダムから移ってくると思っていたからだ。結果的に風香がアクトレスガールズ勢を6人引き連れてきたことで、より新鮮なメンバーで旗揚げを迎えることになった。

「もうスターダムの選手はいらないでしょう。最初はスターダムvs.新スターダムでスターダムを超えるのもアリだなと思っていたんですが、5人しかマリーゴールドに来なかった。選手たちも旗揚げメンバーにはこだわりがあります。後から来て先輩風を吹かされても困るでしょう。選手はそれぞれ人生の分かれ道を自分で選択したわけですから。でも、親が自分の家を捨てて新しい家を作った。悪い親ですよね」

 66歳での3度目の団体設立。5月1日の誕生日をまたいで、67歳で旗揚げ戦を迎えた。不思議なパワーが小川の体に宿っていた。

「50歳くらいで仕事を辞めて、のんびり生きたい。そんなゆったりした老後もいいかなと思ったこともありました。でも、気持ちが変わったんです。ただのプロレスが好きな少年、あのころの気持ちのままです。だから、やっていけるんじゃないかな。今回、一から始めるパワーがあった。普通の人にとってはもう老後でしょう」

 そう語る本人に“ご隠居”のような雰囲気はない。

「今はびっくりするほど元気ですよ。プロレスが好きなんです。もう47年もやってきた。あと3年で50年になります。死ぬときにお金なんて持っていてもしょうがないでしょう。それなら好きなプロレスにお金を使いたいと思ったんです」

 後押ししてくれる人もいれば、当然アンチもいる。

「記事やそのコメントで真実でないことも目にします。まったく身に覚えのないことを言われたこともありますが、『人はそういうふうに思うんだな』と勉強になりました」

【次ページ】 「スターダムでは置物みたいでしたから」

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