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スターダム“最後の試合”でこらえた涙…退団する林下詩美と黄金世代の絆「お前は本当の同期だから」マリーゴールドで始まる“自分のための挑戦”
posted2024/04/28 17:22
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Essei Hara
女子プロレスラー・林下詩美はかつて“ビッグダディの三女”として知られていた。何か久しぶりに思い出した気がする。
2018年8月のデビューは鳴物入り。しかしすぐに“話題先行”ではなくなった。同年9月にシングルリーグ戦準優勝。タッグリーグ戦では優勝すると、11月にタッグベルトを巻いた。キャリアわずか3カ月での快挙だった。
その後も次々とタイトルを獲得し、2020年には団体の頂点、“赤いベルト”ワールド・オブ・スターダム王者に。それも“アイコン”岩谷麻優を下しての戴冠だった。
赤いベルトを1年あまり保持し、2021年に東京スポーツ認定の女子プロレス大賞を受賞した。ここまでくるとトップ中のトップ。生まれ育ちはあくまで“背景”だ。本人の実力、実績、魅力ですべてを物語る存在になっていた。
ただ見方を変えれば、出世が凄まじく早かった。赤いベルトを“落とした”時点で23歳。といって単なる“若手”に戻るわけにもいかない。目標を探すのが難しかったのではないか。このところの林下はユニットQueen's Quest(QQ)のリーダーとして、周りのため後輩の育成のために動く姿が印象的だった。
だから、3月いっぱいで退団するという発表があった時もさほど驚かなかった。以前から離脱者、新団体設立の噂はあったし、とりわけ林下には新しい環境が必要に思えた。
最後に望んだ“黄金世代対決”
スターダムでの最後の試合は4月12日の後楽園ホール大会。同じく退団したジュリアとともに、すでに契約が切れている中での参戦だった。3月後半は東京での大会がなかったこともあり“お別れ”の舞台を作ろうということだろう。
林下は上谷沙弥と組み、舞華&飯田沙耶と対戦。林下と上谷はタッグ王座を2度戴冠、舞華は赤いベルト、飯田はNew Bloodタッグの現チャンピオンである。昨年引退したひめかも含め、デビュー年が近い彼女たちはスターダムの“黄金世代”と呼ばれる。
スターダムでの最後の試合に“黄金世代対決”を望んだのは、林下自身だった。試合前日に開催された上谷とのファンイベントで、その心境を語っている。
「これからのスターダムを担う黄金世代と試合をして終わりたかった。今のスターダムでの最高の試合を見せたいです」