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「燃え尽き症候群」で引退→26年後に復帰、杉村太蔵44歳に聞いた「元国体王者が今テニスに打ち込むワケ」「現実を受け入れるのに時間が…」 

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堀尾大悟

堀尾大悟Daigo Horio

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photograph byYuki Suenaga

posted2024/04/13 11:03

「燃え尽き症候群」で引退→26年後に復帰、杉村太蔵44歳に聞いた「元国体王者が今テニスに打ち込むワケ」「現実を受け入れるのに時間が…」<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

高校での日本一となった後に「燃え尽き症候群」となり、テニスとは距離をとっていた杉村。その後、テニスと思わぬ再会を果たすことになる

こんな悔しい気持ちになるとは思わなかった

 杉村の挑戦の様子は「杉村太蔵 毎トーへの道」のYouTube動画でも視聴できるが、ベテランテニス界のチャンピオンや元日本代表選手などに教えを請いながら体力と感覚、そして自信を少しずつ取り戻していく。得意のサーブとボレーを軸に、ストロークで粘りながらネットプレーでポイントを取るプレースタイルも形になっていった。

 そして、挑戦がスタートしてから8カ月後の2023年7月3日。ついに毎トーの大会当日を迎える。初戦の相手は第4シードの強敵だ。

 ファーストセットは0-6で落とすも、セカンドセットは一進一退の攻防を制し、6-3で取り返す。10ポイント先取のタイブレークで行われるファイナルセットに突入した。

 しかし、タイブレークでは自力で上回る相手選手が主導権を握り、7-10で敗戦。25年ぶりの公式戦を勝利で飾ることはかなわなかった。

 試合終了後、記者会見に臨んだ杉村は、充実した表情で汗を拭いながらも悔しさをにじませた。

「正直言って本当に……こんな悔しい気持ちになるとは思わなかったですよ。非常に悔しい!」

 そして、はっきりとこう宣言した。

「来年も挑戦します。必ず(大会に)出ます!」

最初は僕も1回限り、と思っていました。でも…

 伊達公子さんとの対談での“失言”から始まった、25年ぶりの実戦復帰のチャレンジ。1回限りの挑戦として幕引きしてもいいはずだが、試合終了後、なぜすぐ再挑戦を表明したのか。

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