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「ディマに怒られたんですよ」サントリー大宅真樹が明かすVリーグ優勝秘話…218cmムセルスキーの本音、旧友・小野寺太志と歓喜ハグ
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byJVL
posted2024/04/03 11:01
Vリーグ制覇に貢献したサントリーサンバーズのセッター大宅真樹(28歳)。先日発表された、日本代表登録メンバーにも名を連ねている
両チームともにディフェンスが非常によく、見応えのあるラリーが続いたが、そこでは、万全のコンディションで臨んだムセルスキーの決定力がやはりものを言った。終わってみれば、ムセルスキーの打数は47本で、チーム打数98本の半分近く打ったが、37-35の大激戦となった第2セットのデュースの場面でもクイックやパイプ攻撃を絡めるなど単調になることはなく、アラインは64.0%という高いスパイク決定率を残した。
試合後、大宅は言った。
「僕らの勝ち方っていうのは、やっぱり今日のような戦い方。僕はムセルスキー頼みが悪いとは思わないけど、全部が全部ムセルスキーじゃないというところをやっぱり見せたいというのもある。要所でクイックや他の選手を印象づけることはできていたと思う。今日は、今のサンバーズで100%のトス配分はできたのかなと思います」
100%のトス配分。それを助けたもう一つの要因は、JTサンダーズ広島から今季移籍加入したミドルブロッカーの小野寺太志だ。
照れくさかった小野寺との歓喜ハグ
小野寺が「15歳からの長い付き合い」と言うように、同い年の2人はアンダーカテゴリーの日本代表時代から互いを知る気心の知れた仲。大宅にとっては精神的にも、トス回しの面でも拠り所となった。
「まずサイドアウトをしっかり取ってくれるところは、安心・安全・信頼の小野寺(笑)。ヒットポイントが広く、『この辺に上げればなんとかしてくれる』という選手。そういう選手が真ん中にいるだけで全然違う。どっしり構えてくれるので、調子いい悪い関係なく、コートにいるだけで僕自身安心してプレーできる」
小野寺は今季、4年ぶりにスパイク賞を獲得。小野寺にとっても大宅の存在は大きかった。
以前、大宅は理想的なクイックの本数として「小野寺はセット3本、鬼木(錬)はセット2本は欲しい」と語っていたが、ファイナルでは3セットで小野寺は11本、鬼木は7本とクリアした。
優勝決定後、まるで大木に飛びつくかのように、大宅が小野寺にピョンと飛びつき、そのまま抱き合って喜びを分かち合った。
「特に言葉は交わしてないんですけど、なんか“おいで”みたいにされたので、行きました」と大宅。
小野寺は「あんま覚えてないんですけど」と照れながら、「僕としては、やっぱり同期で、付き合いが長くて、代表でも一緒でしたし、このチームでまた一緒に戦えて嬉しかった。こういう結果を掴みとれたのが、スパイク賞も含めてですけど、僕は大宅のおかげもあると思うので、ま、一応感謝しとこうと思って」と明かした。