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北朝鮮から“取材許可”された6人…日本人記者が目撃「デジカメ没収の危機」「空港で怒られた遠藤保仁」13年前だから明かせる“ビックリ事件” 

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松本宣昭

松本宣昭Yoshiaki Matsumoto

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photograph by代表撮影/JIJI PRESS

posted2024/03/27 11:00

北朝鮮から“取材許可”された6人…日本人記者が目撃「デジカメ没収の危機」「空港で怒られた遠藤保仁」13年前だから明かせる“ビックリ事件”<Number Web> photograph by 代表撮影/JIJI PRESS

2011年11月14日、サッカーW杯3次予選の北朝鮮戦のため、平壌国際空港に到着した遠藤保仁ら日本代表(当時)

 この北朝鮮戦に向けて新聞社、出版社など各活字媒体から51人の取材申請があったものの、北朝鮮側から許可されたのはこの10人だけだったそうだ。内訳は、通信社記者3人、サッカー専門誌記者2人、フリーランス記者1人、カメラマン4人。そんな狭き門を突破する幸運に恵まれた。このミーティングの後、たくさんの新聞社から原稿執筆依頼が届いた。現地の様子をうちでも書いてください、と。いつも取材現場でお世話になっているみなさんからの依頼だから、「頑張ります」と威勢よく返事したものの、さすがにすべての速報記事を短時間で書き分けるのは難しい。だから、各日の様子を箇条書きで送って、各社でアレンジして記事にしてもらうことにした。

「静かにしなさい」注意された遠藤保仁たち

 11月14日、平壌行きのチャーター機前方に座る日本代表選手たちは、おにぎりを頬張っていた。現地に到着しても、いつ食事ができるかわからない。この日の練習に備えての栄養補給だろう。コンディション調整に抜かりなし。ただし、海外遠征の経験豊富な代表選手たちにとっても、北朝鮮は未知の国だ。平壌国際空港が近づいてくると、窓に顔を寄せて朝鮮半島の様子を食い入るように見つめていた。

 無事に着陸。滑走路を歩いて空港内に入ると、いきなり入国審査場がある。壁に掲げられた将軍さまたちの特大肖像画に見つめられながら、選手・スタッフに続き、僕ら報道陣も列に並んだ。前方では、談笑していた遠藤保仁、今野泰幸、安田理大が、軍服を着た警備員に「静かにしなさい」と注意されている。緊張感、ぴりり。

 そんな空気を和らげたのは、今野だった。

「え? 俺、寝てたから。みんな、いつの間に書いたの?」

 どうやら入国審査に必要な健康診断票を書き忘れていたらしい。さすが、愛されコンちゃん。みんなから一斉にイジられている。そんな今野を尻目に、書類もばっちり揃えた選手は順調に入国審査を通過……するかと思いきや、全然列が進まない。入国審査官は目の前の選手を見つめたまま、謎の無言タイムが続いている。突然、口を開いたかと思えば、書類にダメ出し。アルベルト・ザッケローニ監督も、容赦なく健康診断票の書き直しを命じられていた。

【次ページ】 空港を出られず…「仕返しみたいです」

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