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「あの時のことはもういいんじゃないかな」ロッテ・松川虎生が“あえて捨て去る”「完全試合の記憶」…打撃向上で正捕手を目指す20歳の決意
text by
梶原紀章(千葉ロッテ広報)Noriaki Kajiwara
photograph byChiba Lotte Marines
posted2024/03/07 11:05
今季も二人の笑顔が見たい「黄金バッテリー」の佐々木朗希(左)と松川虎生
たった一つの楽しみは…
もちろん、佐々木朗希だけでなく様々な投手のボールを受け、「完全試合捕手」に「日本一捕手」の称号を加えたいというのが大目標だ。そのために今は野球漬けの日々を送る。一日のうち、リラックスするのはお風呂に入る時間と寝る時間ぐらい。睡眠時間を8時間は確保するため、夜11時までには必ず寝ていると話す。
「なんにもしていない。野球以外、することはない」と松川。一つだけ楽しみがあるとすれば大好きなテレビドラマを見る事。毎週土曜日、日本テレビで放送されている「新空港占拠」にハマっている。「面白すぎる。毎週、土曜日が楽しみ。本当にそれを見るのを楽しみに土曜日まで頑張るという1週間の過ごし方」と笑う。
阪神・坂本から受けた刺激
昨秋の日本シリーズ期間中は、宮崎でフェニックス・リーグ(教育リーグ)に参加していた。ただ試合後はホテルの自室に戻ると必ず日本シリーズのテレビ中継にチャンネルを合わせた。中でも注目したのは1年目のオフに愛媛県松山市で一緒に自主トレする機会があったタイガース、坂本誠志郎捕手のリードだった。
「話をさせてもらって、凄く色々なことを考えている方だなあと思った。自主トレの食事の時も捕手で集まって捕手論になった。先輩方の話を聞いていて、めちゃくちゃ面白かった。見えない部分も含めていろいろと考えているんだなあ、と。配球はもちろん、キャッチングも上手い。日本シリーズはずっと、坂本さん目線で試合を見て色々と勉強になりました」
タイガースが日本一になった時は「おめでとうございます」とLINEを送った。次はあの舞台に自分がーー。そんな想いはさらに強くなった。そのためには攻守においてリーグ優勝に貢献しなければいけない。純粋無垢な気持ちで完全試合に導いた若者は様々な経験を重ねて成長し、チームを2010年以来となる日本一へと導く大志を抱いている。