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「あの時のことはもういいんじゃないかな」ロッテ・松川虎生が“あえて捨て去る”「完全試合の記憶」…打撃向上で正捕手を目指す20歳の決意 

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梶原紀章(千葉ロッテ広報)

梶原紀章(千葉ロッテ広報)Noriaki Kajiwara

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photograph byChiba Lotte Marines

posted2024/03/07 11:05

「あの時のことはもういいんじゃないかな」ロッテ・松川虎生が“あえて捨て去る”「完全試合の記憶」…打撃向上で正捕手を目指す20歳の決意<Number Web> photograph by Chiba Lotte Marines

今季も二人の笑顔が見たい「黄金バッテリー」の佐々木朗希(左)と松川虎生

 プロでの経験が少なかったあの時だからこそ、純粋無垢なリードができた。そして2学年上の佐々木朗希と共に完全試合を達成した。若い頃は深く考えず挑戦できたことが、歳を重ねるとできなくなる。経験を積むと大胆さを失うことはまさに人生と一緒だ。松川が考えるリードの難しさとは人生の様に奥が深く、答えは明確に見出せない。だからこそどこまでも追求していくものだ。

「正直、実感がなかったです。周りから言われたり、後で考えたりするとメチャクチャすごい事だったなと思って。人生に一度、それを1年目にしてしまったなあという感じ。ただ、あの時のことは、もういいんじゃないかなあと思う。過去というよりこれからの事。いい成績を残したい。新しい事で注目してもらえるように頑張りたいです」

過去は振り返らない

 あの完全試合の映像を見たのは、試合後の一度だけ。自室に戻り、試合の振り返りとして初回から最後まで確認した時だけだ。その栄光にいつまでも浸るつもりはない。経験を積み重ねた今の自分にはもうできないかもしれない、と口にするほど冷静に受け止めている。

 今年、その佐々木朗希投手のボールを初めて受けたのは2月23日、2次キャンプの地である糸満のブルペンだった。意外にも1次キャンプ地の石垣島ではスケジュールの巡り合わせでボールを受けていない。実戦登板の前々日のブルペンが今年初のコンタクトだった。

「フォークの落ちが全然、違った。え、こんなんだったっけと。今まではすこしスライダー気味だったのが、真っすぐ、真下にストーンと落ちるイメージ。初めて受けて、アレッと思った」

 昨年は公式戦で1度しかバッテリーを組んでいない。「朗希さんのボールを受けたいという強い想いはもちろんあります。すごいピッチャーなので今年も受けさせてもらいたい。受けられるときにチャンスがあればどんどん組みたい」と黄金バッテリーの復活を願う。

【次ページ】 たった一つの楽しみは…

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