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「死ぬ思いで練習してきた」中谷潤人の強烈な一撃が“ドネアに勝った王者”のアゴに炸裂…苦戦説を一蹴する「圧巻のTKO」はこうして生まれた 

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渋谷淳

渋谷淳Jun Shibuya

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photograph byHiroaki Yamaguchi

posted2024/02/25 17:00

「死ぬ思いで練習してきた」中谷潤人の強烈な一撃が“ドネアに勝った王者”のアゴに炸裂…苦戦説を一蹴する「圧巻のTKO」はこうして生まれた<Number Web> photograph by Hiroaki Yamaguchi

中谷潤人はノニト・ドネアに勝利したWBC王者アレハンドロ・サンティアゴを圧倒。バンタム級初戦で3階級制覇を成し遂げた

「引き出しは2つ。最初は距離をとってコントロールする。それはできた。6ラウンドはテンポを上げてパンチを出す。いろいろな手札を出していくということでは、2つ出せたと思う」

 過酷な減量から解放された影響も少なくなかった。本人は「いつも通りだった」と涼しい顔だが、弟の龍人マネジャー兼トレーナーは「スーパーフライ級時代は、計量の4、5日前から固形物を摂ることができなかった。今回は食べながら落とせた。もう、全然違いましたね」と証言した。

適正階級で全盛期に突入した中谷潤人

 中谷がその才能と実力から“ネクストモンスター”、つまりは元祖“モンスター”井上尚弥の後継者と目されて久しい。そして26歳となった今、十分なキャリアを積み、バンタム級という適正階級も手に入れた。私たちはいま、全盛期に突入した中谷を目撃していると言えるだろう。

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 4月で31歳になる井上の26歳といえば、ちょうどワールドボクシングスーパーシリーズ(WBSS)の準決勝で現IBFバンタム級王者のエマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)を下したころだ。その後、バンタム級、スーパーバンタム級で4団体を制したモンスターの躍進ぶりは周知の事実だが、その井上も一つひとつ階段をのぼって現在の地位を築いたことを忘れてはならない。

 中谷の目標はバンタム級統一王者、そして井上が常にトップ争いを演じているパウンド・フォー・パウンド・ランキングに入ることだという。本人の言葉通り、今回の勝利は「未来を切り拓く」ターニングポイントになると感じさせた。

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