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ドジャース・野茂英雄「野球を楽しみたい」発言に「日本メディアの8割が怒った」…初代通訳・奥村政之が振り返る「1995年のトルネード旋風」 

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佐藤春佳

佐藤春佳Haruka Sato

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photograph byKoji Asakura

posted2024/02/24 11:06

ドジャース・野茂英雄「野球を楽しみたい」発言に「日本メディアの8割が怒った」…初代通訳・奥村政之が振り返る「1995年のトルネード旋風」<Number Web> photograph by Koji Asakura

記者会見で隣に座る初代通訳の奥村政之。間近で見守ってきた奥村は当時のトルネード旋風をどう見ていたのか

ひょっとしたら野茂はやるんじゃないか

 潮目が変わったのは4月17日、野茂がオープン戦で初めて先発したヤンキース戦だった。4回を1安打無失点。奪三振は1個だったが低めにボールを集め、その代名詞でもある「トルネード投法」と大きく落ちるフォークボールに俄然、注目が集まった。

「球団内の評価も現地メディアも、あの試合を境にはっきりと見方が変わりました。それまで僕がファンへのサインやインタビューなどに制限を設けたりしていると、現地メディアから冷ややかな眼差しも感じていたんです。僕としてはあくまで野茂が野球に集中できるように、という配慮からでしたが、彼らからすれば“まだ実績も残してないのに何を言ってるんだ”という風にね。でもこの試合以降、オープン戦をこなしていくごとに“ひょっとしたら野茂はやるんじゃないか”という期待感が膨らんでいくのを肌で感じました」

ヒデオ、ちょっと俺の部屋に来い

 5月2日、サンフランシスコ・ジャイアンツ戦でメジャーデビュー。6月2日、ニューヨーク・メッツ戦で初勝利を挙げるとそこから快進撃を続ける。初完封、奪三振記録、月間MVP……。まさにトルネードのような勢いでNOMOはメジャーリーグを席巻していく。衆目を集める野茂を大きな包容力で包んだのは、トミー・ラソーダ監督だった。

「監督と選手って普段はそんなに話す機会がないものですが、ラソーダさんは常に声をかけてくれました。たまに時間が空いたら『ヒデオ、ちょっと俺の部屋に来い。美味いパスタがあるから好きなだけ食べていいぞ』なんてね。野球の話をすることはあまりなかった。ラソーダさんはマスコミも大好きで、特に日本のカメラが野茂をバシャバシャと撮っていると、あえて野茂の横に行ってアドバイスをするふりをして写真に写り込んでみたりして。それを日本メディアも喜んでね。本当に面白くてお茶目な監督でした」

「抑える自信はありますか?」に対し…

 前半戦は登板13試合で6勝1敗、防御率1.99。オールスターゲームに初選出され、ナショナル・リーグの先発の指名を受けた。対するアメリカン・リーグの先発はランディ・ジョンソン。アーリントンで開かれた記者会見の席上、日本メディアから「抑える自信はありますか?」、「ランディ・ジョンソンに勝てますか?」と矢継ぎ早に聞かれた野茂は、静かにこう口にした。

【次ページ】 日本メディアの8割は怒っていた

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