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日大アメフト部“あの”「悪質タックル問題」で《消えた天才QB》の告白…日本一から急転直下「もうフットボールは無理やろうなって」 

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北川直樹

北川直樹Naoki Kitagawa

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photograph byNaoki Kitagawa

posted2024/02/18 11:05

日大アメフト部“あの”「悪質タックル問題」で《消えた天才QB》の告白…日本一から急転直下「もうフットボールは無理やろうなって」<Number Web> photograph by Naoki Kitagawa

「悪質タックル問題」で暗転した日大アメフト部…1年時からエースQBを務めていた林大希は、リーグ降格などを経て最後の4年目での甲子園ボウル出場を目指した

「目標を決めると、それ以上には行けないってよく言うじゃないですか。僕も気持ちが切れてしまいましたし、チームとしても完結してしまった感がありました」

 甲子園では関学大に24-42での敗戦。完敗だった。そこに至るまでが劇的な出来事の連続だったからこそ、目標の先まではどうしても考えが及ばなかった。

3年ぶりの甲子園で感じた「リアル」

 3年ぶりに甲子園ボウルで対戦した関学大の印象そのものは、1年生のときと同じだった。

「選手個々のパワーもスピードも、圧倒的に関東のチームの方が強いなとは感じるんです。でも、力をスカされる感じがあって。結局、試合では負けていますし、口で言うと反感を買いそうなんですが……。正直に感じたのは、そういう感じですね」

 一方で、甲子園という舞台そのものへの感想は全く違った。

「1年のときは甲子園ボウルそのものに思い入れもなかったですし、敵も相手チームというより(自軍の)監督だったんで、あくまで『そこで試合をするだけ』という感じでした。でも、4年生のときは『甲子園で試合をする』こと自体が目標だったので……なかなか無の感情では臨めなかったですね」

 試合前は妙に気持ちが浮ついたり、逆にやる気が出なくなることもあった。気持ちの面で揺れてしまったことは、競技の結果的には「マイナスになったのでは」と林は言う。

 この点について、事情は違えど王者の関学大にも共通する考えがあるのではないか。

 関学大では「連覇」という具体的な目標は、監督や選手ら誰に聞いても口にしない。無駄な感情の起伏を抑えて、いま自分たちができることに集中する。勝負論を突き詰めたときに出てくる、ひとつの大きな要素なのかもしれない。

 1年生にしてエースQBとして日本一とMVPに輝き、日本中を巻き込んだ“悪質タックル問題”で一度はフットボールを諦めかけた。そこから4年目に、集大成の甲子園ボウル出場――林の大学アメフト生活は、まさにジェットコースターのようだった。そんな林は卒業後のいま、どんな道を歩んでいるのだろうか?<次回へ続く>
#3に続く
日大アメフト《悪質タックル問題》で“消えた天才QB”が「廃部」に思うこと…「卒業した後の方が人生は長い」「“今”にとらわれず俯瞰的に」

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