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鈴木彩艶と“叩かれがちな”日本代表GK史…川口能活「殺されようがしょうがない」「6失点は恥ずかしいけど」楢崎正剛、川島永嗣も苦しんだ日
posted2024/01/28 17:01
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph by
Kiichi Matsumoto(C),Takuya Sugiyama(L,R)
<名言1>
殺されようが何をされようが、しょうがないなって思ってた。それほど気持ちは絶望感に満ちていた。
(川口能活/Number434号 1997年12月18日発売)
◇解説◇
今回のアジアカップで厳しい批評にさらされているのは、GK鈴木彩艶である。
現在シント・トロイデンに所属する彩艶は、昨夏の移籍市場で名門マンチェスター・ユナイテッドからオファーが届くなど、身体能力を含めたゴールキーパーとしてのポテンシャルは世代別代表時代から大きく期待されている。
その一方で今大会グループステージで5失点を喫したチームにあって、“日本代表GK問題”としてスケープゴートになっている印象がある。さらにはSNS上での“人種差別的な誹謗中傷”に日本サッカー協会の田嶋幸三会長が「JFAは人権や名誉、プライバシーなどを侵害する行為を決して容認せず、法的措置も辞さない姿勢でその根絶を目指していく考えです」とのコメントを出す事態にもなった。
過去にも日本代表で、様々な守護神が厳しい批判にさらされていた。特にその期間が長かった1人は、川口だろう。
高校サッカー選手権の主役を経て10代から横浜マリノスの守護神となり、96年アトランタ五輪では「マイアミの奇跡」と称されるブラジル相手の完封勝利を成し遂げた立役者は、フランスW杯最終予選に臨む日本代表正GKの座を手に入れた。
しかし、その最終予選がとんでもないジェットコースターだった。勝ち点を思うように伸ばせない序中盤を経て“絶対に勝たなければならない”状況だったホームUAE戦。呂比須ワグナーのゴールで先制したものの、セットプレーからの相手ヘディングシュートを川口が弾けずに同点に追いつかれると、そのまま1-1の引き分け。試合後には国立競技場で“暴徒化”したサポーターが選手のバスを取り囲んだ。
そんな追い詰められた川口が口にしたのが、冒頭の言葉だった。
それでも川口は危機的状況を乗り越え、W杯初出場をつかみとるとフランスW杯でも正守護神に。さらには00年と04年アジア杯連覇の正守護神として君臨した。00年決勝サウジアラビア戦でのビッグセーブ連発、04年ヨルダン戦でのPKストップ劇は、今でも語り草となっている。
川島がW杯とアジア杯で批判にさらされた日
<名言2>
失点直後に、ピッチの上で、周りのサポートを感じられたことが嬉しかったですよね。
(川島永嗣/Number957号 2018年7月19日発売)
◇解説◇
今から6年前のこと、ロシアW杯を戦う川島もまた、大きな批判にさらされていた。