酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
16歳で高校中退→メジャー挑戦「親として同じことが言えるかな」なぜマック鈴木48歳はトライアウトLの顔として活動するか〈オリックス秘話も〉
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKou Hiroo
posted2024/01/17 11:01
ジャパンウィンターリーグでのマック鈴木氏
「開幕戦に出るショートの子が、すごくがちがちになっていて、このまま試合に出てもいいプレーはできないだろうと思ったから、ノックを打っていたんですね。僕は裏方から野球の世界に入りましたから、選手のそういうメンタルがわかるんですね」
――マック鈴木氏自身も、野球のエリートコースを歩んだわけではない。滝川第二高を中退して、アメリカのマイナーリーグに入っています。
「とりあえず親元を離れて、お金の面でも困ってこいと、1人でぽんと放り出されました。でもそれが大正解でした。16歳で、語学留学ではなく死ぬか生きるかわからないけど行って来いという感覚で放り出されたのが一番良くて、たまたま僕はメジャーまで行きましたけど、よく親父が決断したと思います。僕には今、3人子供がいますが、父親と同じように『行ってこい』と言えるかな? と思います」
どんどん当たって砕けろで、人間力を
――エリートコースを外れて、世界の野球をつぶさに見て、実力で道を拓いてきたマック鈴木さんは、ジャパンウィンターリーグに、どんな期待をしていますか?
「ジャパンウィンターリーグはいろいろな可能性の種まき場だと思いますね。今後5年10年先に、ここを通ってきた人たちがどう育っていくか。どんな風に野球界に還元していくかに、僕は一番興味がありますね。
僕が海外に放り出されて習得してきた野球、例えば日本野球とは違うボールの捕り方とか、体の動かし方などを、この選手たちは、日本国内の沖縄で勉強できるわけです。選手たちは、どんどん当たって砕けろで、人間力を高めてほしいですね」