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「残り2%が圧倒的な差に」“大穴”FC町田ゼルビアはなぜJ1昇格できたのか? 藤田晋社長が語る“名将”黒田剛の手腕「いずれは世界に…」
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byJ.LEAGUE
posted2023/12/29 17:01
2位に勝ち点12差をつけJ2優勝とJ1昇格を果たしたFC町田ゼルビア。藤田晋社長がその真相を明かした
「あのときは途方に暮れましたね(笑)。わざわざ多額のお金を出して嫌われる必要もないので、どうして買ってしまったんだろう、と。でも、ふてくされても仕方がないって吹っ切れましたね。
試合は全部、見ています。一度負けたら3日くらい引きずるし、次も負けるんじゃないかって思ってしまう。逆に勝てばJ1間違いないだろうって強気になっちゃう。株主から“お前の遊びに金を使うな”って文句を言われると困るから大きな声では言えないですけど、やっぱり楽しいですよ」
11月18日、JR町田駅前で優勝パレードが盛大に行われ、約8000人のファン、サポーターが集まった。バスに乗り込んだ藤田にも「ありがとう!」の感謝の声が届けられた。批判を一身に受けた4年前からは想像できなかったことだ。
町田は学生時代に過ごした場所でもあり、どこか因縁めいたものを感じてしまう。
「あのころの自分はくすぶっていました。でも麻雀や競馬をやっていたから、Mリーグつくったり、馬主になったり……。何となく立ち返っているようにも感じます」
彼は噛み締めるようにして、そう言った。
Jを代表するクラブに
町田は元々サッカーの町として知られている。しかし全国区とまでは言えない。Jを代表するクラブになっていくことで有名にしていきたいとの思いが藤田にはある。
「このクラブが強くなれば、町田市民にも誇りを持ってもらえると思うんです。日本中に、いずれは世界にその名を轟かせていきたい。そのためにもまずはJ1定着を目指す。いきなり上位に入っていけるレベルのチームにしていきたいですね」