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FC町田ゼルビア“魔境”を抜け出しJ1昇格…黒田剛監督の「2%の差」を引き出すマネジメントとは?《藤田晋社長インタビュー》

2023/12/09
26勝9分7敗――。2位に勝ち点12差をつけ、“魔境”J2からの脱却を果たした町田。昨年末に社長となった藤田晋は、過去の経験を糧に勝負の綾を読み解いた。スケール感、スピード感、統率力――。昇格に至った理由を詳らかにする。

 J2優勝シャーレを自分で手にした写真を、X(旧ツイッター)の背景画面に貼りつけている。

「こんなこと初めてしましたよ。見返してみても、これまでのなかで自分が一番うれしそうにしているんです。ああ、こんな表情になるんだなって」

 クールで知られる著名な経営者は写真のなかで顔をくしゃくしゃにして笑っていた。

 株式会社サイバーエージェントのトップである藤田晋が社長兼CEOを務めるFC町田ゼルビアはクラブ史上初めてJ1昇格とJ2優勝を決めた。昨シーズンは15位に終わったチーム。競馬になぞらえて言えば、「大穴」が独走で逃げ切ったわけだ。

「J2は本当に紙一重。予算に差があってもJ1クラブの若手がレンタルでやってきて、それもモチベーション高くガッツあるプレーをしてきてチームに差がつかない。“魔境”を抜け出せたことが何よりですね」

 2018年に経営権を取得してから5シーズン目。苦しんできた分だけ喜びの味もひとしおであった。

社長就任1年目に全精力を注ぐ「勝負師の勘」。

 快進撃の起点は、1年前にさかのぼる。藤田自ら陣頭指揮をとるべく、ゼルビアの社長に12月1日付で就任した。

「(サイバーエージェントが)毎年、広告費という名の実質的な赤字補填をしてきて、“何とかしろ”と僕が言うのは他人任せだし、それは無責任。経営陣を一新することも考えましたが、いや、自分でやる、と。そもそもこの規模の支出をしているなら、これくらいは稼がなきゃいけない、これくらいのパフォーマンスは出さなきゃいけないというスケール感、スピード感が経営の現場、サッカーの現場に伝わっていなかったので、'22年シーズンが終わった後にパッと決断したんです」

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photograph by J.LEAGUE

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