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〈マンガ〉「は、羽生善治会長がセルフ表彰式!?」「藤井聡太竜王は3連覇…渡辺明九段の最長9連覇スゴすぎ!」観る将が描くエモい将棋ニュース
text by
千田純生JUNSEI CHIDA
photograph byJunsei Chida/Keiji Ishikawa
posted2023/12/01 06:00
11月の将棋ハイライト。関連記事などからイラストをご覧になれます!
日本将棋連盟会長として総評を述べたのち「表彰状、羽生善治殿……」と賞状を読み上げ、自分で受け取る羽生初代達人。“マンガ超え”ならぬ“コントが現実”という状況に会場は幸せな笑いに包まれていたそうです。
2年前、佐藤康光会長時代に王座戦挑戦権をかけて戦っていた時に「もしタイトル取ったら自分で賞状渡すのかなあ?」と僕が妻に冗談まじりに言ったことはあるんですが……本当に実現してしまう羽生会長もまた、スーパースターですね。
3)振り飛車ブーム到来?ABEMA新企画も
最後に、将棋界全体の流れについても触れましょう。藤井竜王・名人を筆頭に「居飛車(飛車を定位置で戦うスタイル)」での展開をよく見ているのですが……様々な対局結果を見ていると「振り飛車(飛車が序盤で左サイドに展開する)」が増えていて、なおかつ旋風を振るっているように感じます。
そんな「振り飛車党」の代表格と言えば、菅井竜也八段と戸辺誠七段です。菅井八段は強豪ぞろいの王将戦リーグを5勝1敗で制し、年明けに藤井王将の待つ七番勝負への初挑戦を決めました(ちなみに第七局は「白瀧呉服店」ってのも驚き!)。戸辺七段は順位戦B級2組を5勝1敗で首位タイに立つなど、2023年の成績は12勝6敗です。勝率6割以上になると好調だと聞いたことがある中で、棋士の視点で振り飛車がどんな進化をしているのか興味深いところです。
さらに言えば豊島九段や広瀬九段、“貴族”こと佐藤天彦九段といった居飛車イメージの強いトップ棋士も振り飛車を採用しました。将棋の戦型はトレンドが変わり、さらにAI時代でそのスピードはとても速くなっていると聞きました。その中でAIが“最初はちょっと不利”と示す振り飛車に、棋士の方々はどんな新しい可能性を感じているのだろう……想像するだけで楽しくなってきます。
戦型で言えば、先月も取り上げた「サトミニシヤマ」こと里見香奈女流四冠と西山朋佳女流四冠の倉敷藤花戦三番勝負は、2連勝で里見四冠が防衛に成功しました。さらに29日に行われた女流名人戦リーグプレーオフで里見女流四冠が勝利し、西山女流名人への挑戦が決定……これで女流8タイトル戦での“対戦コンプリート”となるそうです。お二人、いつも戦っている印象ですけど、記録的にも証明されるのだから、本当にすごい!
ABEMAのオリジナル棋戦も目が離せません。今回のテーマは「地域対抗戦」。北海道・東北、関東、中部、関西、中国・四国、九州の各ブロックに分かれたキャプテンたちが誰を指名し、どう戦っていくのか――“将棋最強地域”を決めるというテーマ性も惹き付けられます(岩手県出身なので頑張れ東北勢!)。年末には将棋オールスター東西対抗もあるし、と思うと、胸が熱くなるばかり。Number将棋特集号を読みながら、冬の将棋界トピックスも楽しみに待ちたいと思っています!(構成/茂野聡士)