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ボクシングPRESSBACK NUMBER
井上尚弥をどう倒すつもりだった? フルトンのトレーナーが明かす“幻のモンスター撃破プラン”「タパレス戦は日本で応援したい」
posted2023/10/24 11:04
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph by
Daisuke Sugiura
日本が生んだ最強王者・井上尚弥(大橋)の次戦が具体化していると伝えられる。現在、WBC、WBO世界スーパーバンタム級王座を保持する“モンスター”は12月26日、WBA、IBF同級王者マーロン・タパレス(フィリピン)との4団体統一戦を行うことが有力とされる。7月25日のスティーブン・フルトン(アメリカ)戦で圧倒的な強さを誇示した後だけに、今回も井上が優位とみなされるだろう。
井上にとって2度目となる4冠戦の正式決定を前に、7月のタイトル戦でフルトンのチーフトレーナーとして来日したワヒード・ラヒームを訪ねた。フルトンが15歳の時に知り合ったというラヒームは、2021年1月、アンジェロ・レオ(アメリカ)に勝ってWBO同級王座を取った試合からコンビを組んできた。井上戦の前、公式会見時に井上のバンテージの巻き方に抗議し、物議を醸したことも記憶に新しい。
現在43歳のトレーナーは井上の強さ、フルトンの敗因をどこに見たのか。そしてバンテージ騒動の真意、真相はどこにあったのか。フィラデルフィアのジムでラヒームは静かにその記憶を紐解いていった。
【全2回の前編/バンテージ発言の真相に迫った後編に続く】
「日本人は一丸となって動いているように見えた」
――2カ月以上が経った今、日本での日々をどう振り返りますか?
ワヒード・ラヒーム(以下、WR) 日本で出会ったすべての人たちが私たちに親切に接してくれたのをまず真っ先に思い出す。街はとてもクリーンだったし、何もかもが時間通りに始まる。7月25日のイベントは素晴らしかったと思う。
大橋プロモーションのミスター大橋(大橋秀行会長)はとても聡明で、いい男だった。ミスター大橋が優れた仕事をしてきたのを見て取るのは難しいことではなかった。また、ミスター本田(帝拳ジムの本田明彦会長)は私たちを非常に丁寧に扱ってくれた。日本で知り合った日本人たちはみんな一丸となって動いているように感じられ、それはすごいことだなと思った。そういった姿を見て、私たちも学ぶことができるとすら感じた。トータルで見て、来日は素晴らしい経験、すごい体験だったと振り返ることができる。
――井上尚弥とその周囲の人々にはどういった印象を持ちましたか?
WR 井上とその父親(井上真吾トレーナー)もまたいい人間たちだった。父親は私に激怒していたのではないかと思う。それをわかっていても、彼がいい男だったという気持ちに変わりはない。井上とそのチームは見事な仕事をやり遂げたと思う。