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前田健太(35歳)が迎える“初めてのFA”「総額45億?」考えられる契約オファーは…チーム選択を左右する「先発希望」と「200勝」問題
posted2023/10/17 11:04
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph by
Getty Images
2023年。日本人選手として一番最後までプレーすることを許されたのはツインズ・前田健太だった。その彼にしても地区シリーズで敗退。志半ばで終わった前田は悔しさを噛み殺していた。
「今年のチームはすごくいいチームだったと思うので、勝ち進むチャンスがあったと思います。ここで負けてしまったことは悔しい」
今季終戦は同時に16年にドジャースと結んだ8年契約が満了することも意味していた。ドジャース4年、ツインズ4年。通算で65勝49敗、防御率3.92。前田はちょっぴり感傷的になりながら感慨深げに語った。
「8年というのは長かったようで短かったような気もしますし、まずは8年間まっとうできたことが選手として良かったと思います。充実した8年でした。少し誇りに思えるというか……、しっかり契約を全うできたということは、良かったと思います」
“山あり谷あり”の8年間
20年はコロナ禍での短縮シーズンであったものの、6勝1敗、防御率2.70。ア・リーグ最高のWHIP(1イニングあたりに許す安打と四球の数)0.75を記録し、サイ・ヤング賞投票で日本人歴代最高の2位の評価を得た。
ドジャース時代に遡れば、デビュー戦では初勝利、初本塁打の快挙。本塁打を放った際にはチームメートからサイレント・トリートメントの祝福も受けた。公式戦では先発として腕を振り、ポストシーズンでは絶対的な右のセットアッパーとしてチームのために尽くした。
とはいえ、順風満帆であったわけでもない。21年9月には右肘のハイブリッド手術を受け、22年はリハビリでシーズンを全休した。復活を遂げた今季にしても6勝8敗、防御率4.23。彼本来の力を考えれば、決して満足いくものではなかったはずだ。まさに山あり谷あり。それでも「少し誇りに思える」と彼は言った。この言葉に、全力を尽くした悔いなき8年の思いが表れた。