炎の一筆入魂BACK NUMBER
《負の歴史を払拭せよ》カープ6年前のリベンジなるか? CS下剋上を果たすべく、新井監督が思い描く短期決戦の戦い方
text by
前原淳Jun Maehara
photograph byJIJI PRESS
posted2023/10/13 11:01
10月1日のシーズン最終戦で阪神に敗れて自力での2位を確定できず、新井監督は地元ファンに「めちゃめちゃ悔しい」と挨拶した
相手に流れを渡す前に勢いに乗るためには、先制点が大きな鍵を握る。DeNAは最多勝の東克樹と今永昇太が先発するため、広島の得点機は限られそうだ。今季リーグ5位の493点と得点力に課題を残した広島打線が、この2枚看板をどう攻略するかがポイントとなる。
秋山翔吾や菊池涼介、野間峻祥といったCSを経験した選手もいるが、実績ある経験者と若手がうまく噛み合えば、勝機も見えてくる。中でもペナントレースの中で成長を示した小園海斗、末包昇大に注目したい。
小園は今季、左投手をあまり苦にせず、対右投手との打率.280を上回る.295を残した。左打者が多い打線にあって、左右どちらの投手に対しても3割台の打率を残す西川龍馬に次ぐ高水準だ。東には13打数2安打も、今永には10打数5安打。8月以降、打率.318と状態を上げた打撃で打線を勢いづける役割が期待される。
大一番でのベストな陣容
シーズン終盤に秋山や西川が一軍に復帰し、野間もCSに間に合った。外野のレギュラー陣がそろったとはいえ、末包は規定打席未到達ながらOPSはチームトップ.862をマークしている。左投手には対右より2分低い.264の打率だが、6本塁打を放ちOPSは.872。東には1HRを含む10打数3安打を記録した。都市対抗を戦った大阪ガス時代の経験がプラスに働くかもしれない。
離脱していた主力たちが戻った状況に、新井監督は「CSだよ、全員集合!」と報道陣を笑わせたが、チーム状態や陣容はベストに近いといえる。
「ミスを恐れず、どんどん球際を攻めていってもらいたい。打つ方も投げる方も、走る方も、守る方もね」
失うものは何もない。17年のリベンジを果たすべく、新井カープが集大成の戦いに挑む。