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大谷翔平の負傷禍を“取材歴10年”番記者が検証…日本ハム時代から「中指をつった」記録はなかったが「例えばもう一回ケガをして」の真意

posted2023/09/07 06:00

 
大谷翔平の負傷禍を“取材歴10年”番記者が検証…日本ハム時代から「中指をつった」記録はなかったが「例えばもう一回ケガをして」の真意<Number Web> photograph by JIJI PRESS

8月3日、マリナーズ戦に登板した際の大谷翔平

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柳原直之(スポーツニッポン)

柳原直之(スポーツニッポン)Naoyuki Yanagihara

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 大谷翔平が打撃練習中に痛めたとされる右脇腹の状態を踏まえて、約2年ぶりとなる2戦連続のスタメン外(出番なし)となった。右肘じん帯損傷など気にかかるケガが立て続けに起こっているが、大谷を追う番記者が8月の取材を踏まえて考えることとは?

 1カ月前の8月3日。米国取材最終日だった。

 会見後にロッカーでスマートフォンを触っていたエンゼルス・大谷にあいさつすると、目を見開き「お疲れしたっ」といつもの返事が返ってきた。元気そうな表情に少しホッとして球場を後にした――。

 だが、振り返ると以前のようにイジられることはなく、この辺りから“右肘の異変”は始まっていたのかもしれない。  

伝説のダブルヘッダーなどの一方で降板、登板回避が

 同日のマリナーズ戦で、大谷は右手中指がつったために4回限りで降板した。ペリー・ミナシアンGMは26日の会見でこの時、球団側はMRI検査を提案したが、大谷とネズ・バレロ代理人が拒んだことを明かした。「指がつっただけで必要性がない、と彼らが判断したのは理解できる」と同GM。大谷自身も試合後に「よく投手がつる箇所。指と軸足はよくある箇所じゃないかなとは思う」と問題視していなかった。だが、8日の登板を経て15日は「右腕の疲労」で登板回避。23日の登板後に「右肘じん帯損傷」が判明した。

 ダブルヘッダーでフル回転して“伝説の一日”と称される7月27日のタイガース戦の2試合目で、左腰付近のけいれんで途中交代。翌28日のブルージェイズ戦も「両ふくらはぎのけいれん」で途中交代した。「右手中指がつった」のは、真夏の16連戦の10戦目に起きた3度目の“けいれん”を意味する。大谷も試合後に「一番は疲労。それは単純に連戦ということもある」と原因を自己分析していた。

日本ハム時代から担当10年、発言をすべて保存しているが

 ただ、大谷が右手中指をつった記録はこれまで公には残っていない。

 日本ハム時代から担当10年目を迎え、18年のメジャー移籍後から発言は全てメモアプリで保存しているが、それ以前の過去の取材メモを見返しても見つからなかった。「よく投手がつる箇所」という大谷の言葉に嘘はないだろう。これまでただ情報が伏せられていただけで、蓄積疲労が限界に近い時のサインだったのかもしれない。

 本人にしか分からない負担や疲労。その原因を巡る“犯人捜し”に意味はない。だが、将来の二刀流選手の門戸を閉ざさないためにも検証は必要と考えている。

【次ページ】 二刀流で酷使する肉体の疲労度は大谷自身しか分からない

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