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不起訴の山川穂高に西武は「無期限出場停止処分」これは一球団の問題ではない…NPBはなぜ動かないのか? “判例”となるバウアーのケース
posted2023/09/05 17:02
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
KYODO
知人女性への強制性交の疑いで書類送検され、嫌疑不十分で不起訴処分となった西武・山川穂高内野手に対して、西武球団は9月4日に「無期限で公式戦への出場停止」とする処分を発表した。
「不起訴処分になったとはいえ、これだけ世間を騒がせた。主力選手としての責任ある立場ということもあるので、球団としては今回の事態を重く見て、しっかり処分すべきだと判断した」
都内で開かれた12球団実行委員会後に西武・飯田光男球団本部長が取材に応じ、処分に対する球団の考えをこう明らかにしている。
「不起訴処分」を受け、球団としてペナルティー
山川は昨年11月に港区のホテルで20代の女性に性的暴行をしたとして、女性側から被害届が出された。警視庁麻布署が捜査に乗り出し、今年5月に東京地検に書類送検されたが、8月下旬に不起訴処分となっている。
5月11日に「文春オンライン」が事件を報道した翌12日に、西武球団は「総合的に判断してコンデイション的に」山川の出場選手登録を抹消。その後はリハビリ組などと共に三軍で練習を続けていた。
一方、7月10日のオーナー会議後に西武の後藤高志オーナーは「非常に彼の行為は遺憾だし、残念」とし、「まだ検察の判断が出ておりません。山川選手に対する対応は、その判断が出てから」と対応を明らかに。その言葉通りに「嫌疑不十分の不起訴処分」という検察判断を受けて、改めて球団としてのペナルティーを科したことになる。
不起訴処分が決定した直後に日本プロ野球選手会の森忠仁事務局長は、山川側から女性側に和解金などの支払いがなく、女性側の言い分を認定する証拠が認められなかったと判断された点を挙げて「客観的事実に基づく慎重な対応」を求め、「選手寿命が限られているプロ野球選手にとって1日、1日が極めて重いものです。再びグラウンドでプレーできるよう、静かに見守りいただきますようにお願いいたします」とコメントするなど、早期の復帰を求めていた。
「解雇を考えていいのでは」という意見も…
しかし球団の下した判断は「無期限の公式戦出場停止」と、予想以上に重いペナルティーだった。