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慶応が極秘に行っていた「キモい大作戦」…選手が明かす“劣勢でも不敵な笑み”の真相「ホームランを打たれても拍手してました」

posted2023/08/30 06:00

 
慶応が極秘に行っていた「キモい大作戦」…選手が明かす“劣勢でも不敵な笑み”の真相「ホームランを打たれても拍手してました」<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

さわやかにプレーしながら優勝をつかみ取った慶応。じつはその笑顔の裏で「ある作戦」が遂行されていた――

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齋藤裕

齋藤裕Yu Saito

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Naoya Sanuki

 8月25日、14時過ぎ。2日前に仙台育英を8-2で下し、深紅の優勝旗を勝ち取った慶應義塾高校の選手たちの姿は日吉グラウンドにあった。普段通りの練習場所に報道陣を集めて行われた取材対応、そしてある選手から明かされた、笑顔の裏にあった“極秘”の作戦とは――。

森林監督は記念撮影をまさかの拒否

 金色の「K」が輝く帽子を被り、19人の選手が報道陣を前に整列している。

「森林さん、写真撮影お願いします」

 優勝したメンバーから森林貴彦監督に声がかかる。

「いや、いいよ。練習着で来ちゃっているし」

 ウェアを手でつかみ笑いながら、首を横に振る。とはいえ、遠慮しながら、最終的には選手たちと一緒に写る流れになるかと思いきや、最後まで固辞。本当に選手たちの輪に加わることなく、関係者と談笑しながら見守っていた。

 監督なき優勝の記念撮影。そして、その後、メディア向けに行われた取材対応も“監督不在”だった。

監督&選手の横並び会見ではなかった理由

 取材は、U-18代表に招集された丸田湊斗(みなと)を除いた甲子園優勝メンバーと監督がそれぞれのメディアに個別に応じる形式で行われた。つまり、監督のいないところで選手が話をするスタイルなのだ。

 グラウンドには映像機材を持ったクルーが10社以上、総勢100名近くの取材者が詰めかけていた。

 そんな多くの報道陣を前に、WBC日本代表やサッカー日本代表のように監督が選手と横並びになって応じる形ではなく、選手個々に任せる方式にしたのは森林監督の采配なのか。森林監督に聞くと、最終的には幹事社(報道側の代表者、この時は朝日新聞)と話し合って決めたそう。そして「監督&選手横並びの会見」にしなかった理由をサラリとこう語った。

「全員並んで、10分、20分の会見という形じゃ聞きたい話も聞けないでしょう」

「坊主頭」など高校野球の常識を疑い、優勝インタビューで「うちが優勝することで、高校野球の多様性を示せればいい」と話していた森林監督。凱旋の会見でも常態化した形式とは異なる一手を打ってみせた。

「子供扱いしない」姿勢

 とはいえ、選手は高校生。大人数を前に自分のあずかり知らないところで何を言うか、監督として気にならないのか。「取材を受けるにあたって選手に何か伝えたか」と聞くとこんな答えが返ってきた。

【次ページ】 「ありがとうチーフ」

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