そこで、地元福島で実行委員会を立ち上げ、古関は2020年の殿堂入り特別表彰部門での候補になりました。でもその年は2票しか入らなかった。これはダメだなと思っていたら翌年5票入った。

追い風が吹いたのは朝ドラ『エール』だった

　さあ、ここでもって追い風が吹いたわけであります。

　NHK朝の連続テレビ小説『エール』ですね。古関裕而をモデルにした作曲家が主演のドラマが始まった。これがすごい反響になったんですね。よし、これでいける。我々も、福島の方も全部確信をいたしましたが、昨年もあと1票足らずに落選しまして。

　もう今度は絶対大丈夫ということでもって今年1月13日の殿堂入りの発表を、JR福島駅の東口に特設ステージが設けられて、福島市長、商工会議所会頭、福島商業OB会、全部集まって待っていた。見事に当選ということで、ニュースが入るとともにくす玉が割れて、ついに殿堂入りが決まったんです。

　日本三大作曲家と言えば、古賀政男、服部良一、古関裕而の3人です。古賀さんと服部さんは国民栄誉賞を受賞していますが、古関さんはご遺族が辞退された。戦前『軍歌王』と言われたことがあったかもしれません。でも、戦後、これだけ素晴らしい野球の曲を作ったわけですから『野球殿堂』入りは本当に喜ばしいと思います〉

生前の古関さん　©JIJI PRESS

　昨年8月には、福島市や福島県高野連など20団体でつくる「古関裕而氏の野球殿堂入りを実現する会」が、2023年の野球殿堂入りを目指し、公益財団法人・野球殿堂博物館（東京に推薦書を提出した。その甲斐もあって、2023年度投票で古関裕而は野球殿堂入りを果たした。

過去の特別表彰の登場結果を見てみると

　実は、古関裕而は2011年にも特別表彰候補になったことがあるが、この時は落選した。

　2020年に再度候補となって以降の特別表彰の投票結果。◎は当選。【】カッコ内は当選必要票数。（）カッコ内は主要な肩書。

・2020年【11票】
◎12票・前田祐吉（慶応義塾大学監督）
◎11票・石井連藏（早稲田大学監督）
7票・川島勝司（アトランタ五輪代表監督）
4票・谷村友一（プロ野球審判員）
3票・水島新司（漫画家）
2票・古関裕而（作曲家）
2票・佐山和夫（作家）
1票・松前重義（東海大学創立者）
0票・太田誠（駒澤大学監督）
0票・近藤兵太郎（嘉義農林監督）

・2021年【11票】
◎13票・川島勝司（アトランタ五輪代表監督）
◎12票・佐山和夫（作家）
5票・谷村友一（プロ野球審判員）
5票・古関裕而（作曲家）
4票・松前重義（東海大学創立者）
1票・金子鋭（プロ野球コミッショナー）
1票・尾藤公（簑島高校監督）
0票・太田誠（駒澤大学監督）
0票・近藤兵太郎（嘉義農林監督）
0票・有田辰三（軟式野球普及者）

・2022年【9票】
◎9票・松前重義（東海大学創立者）
8票・古関裕而（作曲家）
6票・谷村友一（プロ野球審判員）
4票・宮井勝成（中央大学監督）
2票・太田誠（駒澤大学監督）
2票・大和球士（スポーツライター）
1票・金子鋭（プロ野球コミッショナー）
0票・尾藤公（簑島高校監督）

・2023年【10票】
◎10票・古関裕而（作曲家）
9票・谷村友一（プロ野球審判員）
4票・大和球士（スポーツライター）
4票・鈴木義信（ソウル五輪代表監督）
2票・宮井勝成（中央大学監督）
1票・金子鋭（プロ野球コミッショナー）
0票・赤嶺昌志（名古屋軍理事）
0票・伊東卓夫（美満津商店創業者）
0票・横井春野（女子野球指導者）

　◆特別表彰　アマの競技者を対象に選手は引退後5年、監督、コーチは引退後6カ月を経過した者を有資格者とする。またプロ、アマの審判員で引退後6カ月を経過した者、プロ、アマの組織などの発展に貢献、日本の野球の普及、発展に貢献した者も対象になる。プロ、アマの役員、元役員、学識経験者が投票。有効投票の75％以上で殿堂入り。

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