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「マジでボッコボコにされた」62歳ジャガー横田ら“全女レジェンド”がスターライト・キッドに与えた“学び”「負けたのは悔しいけど…」

posted2023/08/24 17:02

 
「マジでボッコボコにされた」62歳ジャガー横田ら“全女レジェンド”がスターライト・キッドに与えた“学び”「負けたのは悔しいけど…」<Number Web> photograph by Essei Hara

8月19日、大田区総合体育館。ジャガー横田、高橋奈七永、中西百重という“全女レジェンド”たちに敗れ、悔しさをあらわにするスターライト・キッド

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原悦生

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 スターライト・キッドは挙げられた両手を「嫌だ」とばかりに振り払った。ジャガー横田(62歳)、高橋奈七永(44歳)、中西百重(43歳)という3人のレジェンドたちとメインイベントの6人タッグマッチで対戦し、次々と渡り合ったが、高橋にフォールされた。完敗だった。

62歳のジャガー横田は「勉強しに来ました」

 8月19日に大田区総合体育館で行われたスターダムの『ミッドサマーフェス』は新旧女子プロレスの名選手が交錯する一夜限りのお祭りだった。ダンプ松本、神取忍といったレジェンドたちの登場に会場は沸いた。

 キッドはレジェンドの中のレジェンド、横田に挑んだ。前日(8月18日)に22歳(推定)の誕生日を迎えたキッドは、「おばあちゃんと一緒くらいでしょう」と渡辺桃が言うように、信じがたいことに40歳も離れている横田と戦ったのだ。キッド自身は横田よりもナナモモ(高橋と中西)に惹かれているのを感じたが、横田のプロレスも体感した。

 中西は4人の子供の母親だ。もう引退して18年という長い月日が流れている。引退後もランブルなどで単発的にリングに上がったことは何回かあるが、ちゃんとした試合の経験はない。この日のためにできるだけ道場に通ったとはいえ、現役並みに動けることに筆者は驚嘆した。いくら天性のものがあるにせよ、「こんなに動けるの」というのが正直な感想だ。

 復帰については手を振って否定したものの、中西はまんざらでもない雰囲気を残した。高橋からも「すごすぎる」と絶賛された。

 横田は女子プロレス団体「ディアナ」のお目付け役だからだろうが、「勉強しに来た」と口にした。さらには「大江戸隊に入ってもいい」とリップサービスまでした。

「どうしてもね、スターダムのイメージだと『ビジュアルから』みたいなのを考えながら来たんだけれど、これがまたなかなかできるのでびっくりしました。人気があるのがわかる。やっぱりプロレスが好きな人が団体に残っているので、ビジュアルばかりと言われないようにしようと頑張っているのを戦ってみて感じました」

 1980年代初頭、「アントニオ猪木の目を持つ女」とも称されていた全女時代の横田は、看板タイトルだったWWWAの「赤いベルト」を4年間以上保持した。そこから引退、復帰という長い年月を重ねて現在の横田がある。さすがにデビル雅美らと激しい戦いをしてきた1980年代とは違うが、にじみ出る風格が威厳を感じさせる。その目はいまだに怖い。だが、スターダムに参戦した横田は謙虚だった。

「とても新鮮だったし、(観客を)魅了するものはなんなのかと勉強のために見させてもらいました」

【次ページ】 悔しさにまみれたスターライト・キッド

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