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「マジでボッコボコにされた」62歳ジャガー横田ら“全女レジェンド”がスターライト・キッドに与えた“学び”「負けたのは悔しいけど…」
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2023/08/24 17:02
8月19日、大田区総合体育館。ジャガー横田、高橋奈七永、中西百重という“全女レジェンド”たちに敗れ、悔しさをあらわにするスターライト・キッド
高橋は冷静だった。
「ジャガーさんはレジェンド中のレジェンド。いろんな世代が集まって、そのレジェンドの方を見に来た。スターダムを普段見ないお客さんにもいろんなものが届いたのかなと思う。『昔も今もこれからも道はつながっていく』と私も全女解散のときに言ったんですけど、自分の心の中に全女イズムだったり、戦いだったり、パッションがあれば、つないでいけると信じてやっています」
さらに高橋はキッドに言った。
「キッド、オマエな、高橋奈七永、高橋奈七永言うんだったら、今日感じただろう。同じリングで感じたよな。このスピード感だったり戦う気持ちだったり、それを盗めよ。技だけじゃなくて、しっかりもっと強くなれ。もっともっと私にぶつかってこい。そうしたらまた何度でも戦ってやるからよ」
「マジで痛いし、ボッコボコだけど…」
メインイベントで敗れたキッドだったが、心はまったく折れていない。試合後には、あらためて自己主張した。
「言い出しっぺ、負けました。今日の主役、ナナモモに取られたのかな。マジでボコボコにされたけど、これが全女の戦いなんだって……。メチャメチャなリングなのが全女。私が見ていた全女を体感できてマジで痛いし、ボッコボコだけどすごく楽しかった。負けたのは悔しいけどね。でも、私は欲深き黒虎だから。貪欲で負けず嫌い。ほしいものはほしいし、自分が一番じゃなきゃ嫌だし、なんでもありなのがSLK。だからもっと強さを手に入れるためにも、五番勝負なのかわからないけど、そういうのもっともっとやりたい。奈七永、私が満足するまで何度でも私と戦ってください。今日では終わらない」
7月2日の高橋戦から始まったキッドの夏は「悔しさ」にまみれている。全勝宣言していた『5★STAR GP』も思うようには進んでいない。これまで3戦して1勝2敗という状況だ。刀羅ナツコには勝ったが、なつぽいと鈴季すずには黒星を喫した。だが、まだかろうじて優勝戦に食い込めるチャンスを残している。9月30日のリーグ最終戦となる岩谷麻優との試合まで、なんとか踏ん張りたいところだ。
直近の話題には9月10日、横浜武道館での『ドリーム・タッグ・フェスティバル』がある。キッドは“永遠のライバル”AZMと夢のタッグを結成して、岩谷麻優、鹿島沙希組と対戦する。タフな経験を重ねた今夏の成長を示す意味でも、興味深い一戦になるだろう。