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伊藤美誠でも平野美宇でも早田ひなでもなく…卓球女子“黄金世代”に続く「次世代」の10代選手とは? 痛感する「パリ五輪代表争い大混戦の要因」
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byJIJI PRESS
posted2023/08/13 11:04
伊藤美誠を破るなど、成長を続ける木原美悠
「史上最年少」を塗り替えてきた逸材
木原は2011年、小学1年生のときに全日本選手権のバンビの部(小学2年生以下)に出場して優勝を飾り、以降、各世代の大会で優勝してきた。
2015年2月のジャパントップ12卓球大会には史上最年少の10歳6カ月で出場、2019年1月の全日本選手権では決勝で伊藤に敗れたものの、やはり史上最年少の14歳5カ月での決勝進出を果たした。
張本智和の妹である美和も小学生の頃から各世代の大会を制してきた。今年5月には選考対象大会の1つ「全農カップ平塚大会」で平野らを破り決勝に進出。また国際大会でも成績を伸ばし、世界ランキングでは日本勢4番手につけている。
長崎も早くから頭角を現し、高校1年生になった2018年には世界選手権団体戦の日本代表に選出。2019年には世界ジュニア選手権に出場、中国の選手を破るなどして優勝。この大会は中国勢が16連覇を続けていたがそれを止めるとともに、日本女子として初めての優勝でもあった。
この3人をはじめ、黄金世代に続く世代からも将来を嘱望される選手が出てきている。そうした選手たちの存在が、パリ五輪代表争いを激化させている要因でもある。
「黄金世代」の後を継ぐ選手たちの必要性
日本女子は福原愛や平野早矢香、そして石川佳純らがけん引し、そこに伊藤や平野が現れ、伊藤は2016年、高校1年生でリオデジャネイロ五輪に出場、団体銅メダルに寄与した。東京五輪では平野も代表に加わり、そして早田が地力をあげて現在に至っている。
先行する世代を追いかけるように次の世代から選手が現れ、オリンピックをはじめとする国際大会での成績が物語るように、しのぎを削りながら日本の底上げをもたらしてきた。とりわけ伊藤を中心とする黄金世代は、その名にふさわしく、数々の結果を残しながら今、日本女子の中核をなしている。
それでもいつかは、競技の世界から退く日が来る。そのとき、後を継ぐ存在がいるかどうかが、日本女子の今後にかかわってくる。