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“久保建英の師匠”シルバ37歳引退「カメラマンの自分は持っていた」スペイン黄金期の魔法から“失意のクボに声掛け”…決定的瞬間の数々
posted2023/08/12 17:01
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph by
Daisuke Nakashima
7月27日、ダビド・シルバが引退を発表、全サッカー界がSNS等を通じ“魔法”と形容されたプレーを名残惜しみ、別れを告げた。
元スペイン代表としての輝かしい経歴は、スペイン黄金期と云われる、2008年UEFAユーロ、スイス・オーストリア大会優勝を皮切りに、10年FIFAワールドカップ南アフリカ大会優勝、 そして12年ユーロ、ウクライナ・ポーランド大会を優勝し、主要国際大会3連覇を果たした初の国代表の主力として活躍した。
またラストイヤーとなった昨シーズンは、レアル・ソシエダの主力として久保建英とのコンビネーションで現地サポーターだけでなく多くの日本人ファンをも虜にした。
シーズン中盤から怪我に苦しみ、復帰、負傷を繰り返した。しかし彼の不在は、より一層、攻撃の要としての類い稀な影響力を強調してみせた。
ピッチに戻ると、最前線から最終ラインまで顔を出し、ボールの受け手となり、激しいプレッシャーの中でもチームに落ち着きを与え、また攻撃の起点となってみせた。
37歳、新シーズンに対する思いがあったはずが…
37歳というサッカー選手としては若くない年齢、怪我による欠場の増加があったにもかかわらず、新シーズンCLの舞台へ復帰するチームは、ベテランの力を必要として契約延長を行なっていた。シルバ本人の新シーズンに対する並々ならぬ思いがあったはずだ。
昨季、チーム新記録となる連勝を続けるソシエダの中で、自身が与える影響力の強さは実感できていた。
このチームでどこまで行けるのか。ベテランと呼ばれる年齢となってなお新たな挑戦に思いを馳せたプレシーズントレーニングの中、前十字靭帯断裂という怪我を負ってしまった。
負傷から数日を置き、人生をかけて打ち込んできたサッカーから離れるという大きな決断が表明された――。
バレンシア時代に笑顔でポーズ
スペインのバルセロナを拠点にスポーツカメラマンとして活動してきた自分にとっては、頭角を表し始めたバレンシアCF時代の、そして代表での彼を撮影する機会が多々あった。