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【真相ルポ】カンボジア代表強化の切り札・本田圭佑が、5年間のGM在任で残したレガシーとは《総決算の大会で敗退》
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph byAFLO
posted2023/08/08 17:00
カンボジア代表のGMとしてカタールW杯アジア2次予選に臨んだ本田。結果は0勝1分7敗だった
一方の行徳氏は清水エスパルスや大宮アルディージャ、FC岐阜で、監督・コーチとしてトップチームやユースの指導に関わり、JFAアジア貢献で2008~10年までブータン代表監督、2016~19年までネパール代表監督を務め、同じ2019年にカンボジアU18代表及びU18アカデミー監督に就任し、今日に至っている。
——シーゲームス優勝という目標を達成できませんでした。
「ここ数年、カンボジアサッカーが凄く良くなったという人が増えていた。2021年に日本で行われたAFC U23アジアカップ予選のゲーム内容や、昨年暮れの東南アジアサッカー選手権(AFF)でフィリピンとブルネイに勝ちインドネシアにも善戦したのを見てです。日本人が多く来てくれて、日本人のおかげでよくなったという声が聞こえて来ていました。
でもタイやベトナムはもっとよくなっていて、差はどんどん開いていると思っています。シーゲームスで良い結果が出ると信じていたカンボジア人も多かったのに、この結果は残念です。やはりすべての面で力不足だったと思います」
ミッション失敗の後悔
——多くの日本人が働きながらも、力をうまく結集できませんでした。
「これだけの日本人が長く関わって……本田は5年やり、小原は今年が9年目、私も今年で5年目。前任者たちもいました。10年かけたシーゲームスでのミッションは成功しませんでした。もちろん僕たちの責任もあると思います。日本人が選手を育てて指導し、サッカーの考え方も教えた。
僕に関していえば、今回選考された20人のなかで関わったことのない選手は3人だけでした。アカデミー出身者が10人近くいて、他も半分ぐらいはU18やU19のときに代表に呼んで一緒にやった選手たちでした。彼らがもっと力をつけていたら結果は違っていたかもしれないと思うこともあります。
この大会で成功をおさめ、「やはり日本のサッカーはすごい」とサッカー関係者から言われたかったのが本音です。この大会をカンボジア人と日本人みんなでしっかり検証して、今後に活かすことが大切だと思います」
ほかに本田グループへの言及もあったが、それも割愛する。読者に皆さんにはニュアンスを汲み取っていただきたい。
<#2へ続く>