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Jをめぐる冒険BACK NUMBER
「ドイツは日本に連敗できない…最高じゃないですか」森保監督が描く2026年W杯のロードマップ…超貴重な秋の欧州遠征では“王道”で勝負?
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byKiichi Matsumoto
posted2023/07/19 11:30
強化試合4戦を終えた森保ジャパン。秋にはドイツ、トルコと対戦する欧州遠征を控えている
3月のウルグアイ戦、コロンビア戦に話を戻せば、困難を突きつけられつつも嬉しい出来事があった。相手チームが日本をしっかり分析していることが感じられたのだ。
「相手が自分たちの良さを出すだけでなく、我々のことをリスペクトして、我々の良さを消しながら戦ってきてくれたというか。流しながら試合をすることがなかったんです。こうしたことが続くなら、これから簡単に勝てない厳しい戦いが待っているなって思いました。でも、それは逆に、我々が成長していくために、すごくいい戦いになるなと」
これまでは観光気分と言ったら語弊があるかもしれないが、日本国内の強化試合では、相手のコンディション不良だけでなく、モチベーション面においても物足りないゲームが少なくなかった。だが、南米の強豪がモチベーション高く、しっかり準備して試合に臨んできたことは、カタールW杯でドイツやスペインを下した日本の評価が高まっている証と言えるだろう。
その意味で、9月シリーズのマッチメイクも日本の評価の高まりを感じさせる。
W杯で撃破したドイツ「最高じゃないですか」
この秋に欧州で対戦するのは、ドイツとトルコ――。
2018年にUEFAネーションズリーグが誕生して以来、欧州勢と強化試合を組むことが難しくなった。実際、18年7月に森保監督が日本代表監督に就任してから、欧州勢では21年6月にセルビアとしか対戦できていない。
ところが今回、EURO2024の開催国であるドイツと同国ヴォルフスブルクで、日程的にEUROの予選が空くトルコとベルギーのゲンクで、強化試合を組めたのだ。
ドイツとは言うまでもなくカタールW杯の再戦であり、トルコとは02年日韓W杯ラウンド16以来の対戦となる。
「最高じゃないですか。自分たちの立ち位置を測れるという意味では、すごく楽しみな試合です。ドイツに関して言うと、我々に対して連敗できないという高いモチベーションで来ると思うので、厳しい試合になると思いますが、だからこそ最高の強化試合になる。個の立ち位置、チームとしての立ち位置、今後やらなければならないことを、W杯優勝経験国から学べる。日本のサッカー界にとっては良いことだと思います」
では、9月シリーズのテーマはなんなのか。北中米W杯に向かうチーム作りにおいて、どんな青写真を思い描いているのか。
「積み上げに関しては、特に6月はできましたけど、それをどんな相手に対してもやれるかどうか。まだ1回やれただけなので、積み上げてきたものをより確実に発揮できるか確認しながら、次に行かなければならないと思います」
だとすれば、新しいテーマにチャレンジするのではなく、3月、6月に上積みできたものをドイツ相手にぶつけてみるということだろうか。
「それすら分からないですね。マンツーマンでやるかもしれません。なぜかと言うと、個人の力量を測る格好の舞台だと思うので。カタールW杯のドイツ戦の後半にそれがうまくいったなかで、もし、あれを90分やったらどうなるかテストするかもしれない。その選択肢はあります。でも、3月、6月にやったことをゼロにするのはもったいない気もするので。そこをベースにして、どこかで変えるのか……。すみません、悩みどころです(笑)。
今、ウイングにいい選手がいるじゃないですか。2列目をどうやって活かすかということで、3月にサイドバックがインサイドに関わっていくことをやって。でも、それだけじゃないよ、オーバーラップもあるよ、ということで、ウイングが外に張るときもあれば、中に入るときもあって、互いにバランスを取って選択肢を増やすことができたのが6月シリーズ。それをどれだけクオリティ高く9月に出していけるか、だと思います」
そのうえで森保監督は、次に取り組むステップの一端を明かした。
それは、中央攻略である。