そこで生まれたのが“牧のそっくりさん募集”だった。

「ちょうどWBCもあって牧選手の知名度が高まり、また試合後のダンスなどで明るい性格であることも話題にもなりました。SNSなどを見ていても、牧選手に親近感を持っている人も多く、じゃあそっくりさんを募集したらどうなの？　みたいな話になったんです」（関根さん）

“牧秀悟”に掛けて“牧、集合！”で行きましょう

「牧選手がヒットを打つたび、ビジョンに牧選手のそっくりさんが映し出されたら面白いよね、なんて話をしながら。せっかくなのでやるなら“募集”じゃなくて、“牧秀悟”に掛けて“牧、集合！”で行きましょうということになりました。これはいいなって」（矢吹さん）

　いいキャッチコピーが生まれれば、企画が勢いをもって勝手に動き出すことは一般の企業でもよくあることだ。ただ、牧のそっくりさんを集めるだけでは企画を通したり実現する上で説得力が足りない。関根さんは、『横浜頂戦』のチームスローガンの下、そっくりさんを影武者とし、ロッテを陽動するストーリーを付け加えた。

　ロッテ側に了承を得るため、先方に説明した際は、最初はあまりにも突拍子もない企画だったので理解されなかったという。しかし説明を重ね、快諾をしてもらった。また、当の牧自身の反応はどうだったのだろうか？

本人は「なにをしようとしているのかわからないけど…」

「もちろん本人に迷惑が掛かるようであれば取りやめますが、牧選手は『なにをしようとしているのかわからないけど、やってみればいいじゃないですか？』という感じでした。社内でも『どこに向かおうとしているのか？』と何回も聞かれましたね（笑）」

　こうして世にも不思議なイベント企画はスタートし、“牧、集合！”の号令を掛けることになった。5月2日、公式ホームページに牧の顔が大量にデザインされたインパクトしかない応募フォームが立ち上がった。募集期間は5月12日までの10日間。

公式がそっくりさんを募集する異例の呼びかけ　球団公式SNSより　©YDB

「ただ最初は、走り出したはいいけど集まらなかったらどうしようかという不安はありました。30件ぐらいくればいいかなって」（矢吹さん）

応募は551件、写真は1700枚以上

　しかし蓋を開けてみれば、応募総数は551件。ありがたいと思いつつ、反響の大きさに面食らった。次はセレクションだが、余裕をもって6月18日の試合に合わせるため、約1週間で選び、応募者へ決定の連絡をしなければいけなかった。

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