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大谷翔平18歳がいた花巻東は“なぜ負けた?” 岩手のライバル校監督が明かす“仮想大谷の7日間”…選手の声「やってきたことは間違いじゃなかった」
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byKYODO
posted2023/06/27 11:03
花巻東時代の大谷翔平
その教訓が活かされる。盛岡大附は勝てるチームとなった。翌年のセンバツで甲子園初勝利を飾ってから、出場した大会全てで初戦を突破している。通算12勝は岩手県では花巻東の16勝に次ぐ記録である。
雄星君や大谷君がいなかったら…
追いつき、追い越せ。盛岡大附のグラウンドでこだまする甲高い金属音が、そう訴えかけているようだ。
今、重量打線の猛者たちを鍛えあげるのは、岩手に再び現れた怪物、佐々木朗希対策で導入した最速175kmの“ローキ君”。このマシンで打ち込み、2018年秋には大船渡の豪腕を打ち崩したこともある。
関口がしみじみと話す。
「『速いピッチャーには強いんだ』という自信が受け継がれているというか。雄星君や大谷君がいなかったら、今のうちはなかったですよね。お互い切磋琢磨して戦えるし、成長させてもらえる相手です」
菊池達朗(編注:菊池雄星と投げ合った元盛岡第一エース)も現在、指導者として花巻東の強さに直面している。4月に久慈の監督となり、春の県大会で0対13と大敗を喫した。「選手時代に戦ったほうが楽でしたよ」。そう笑いながら、苦悩と充実を綴る。
「花巻東さんの強さは選手の能力だけじゃないんです。監督、コーチが選手一人ひとりをしっかり活かす指導をされているというか。今も岩手県が育ててもらっているなと、監督になって改めて感じています」
挑戦者たちは、自分たちを強くしてくれる強者に敬意を表し、そして不敵に笑う。
「岩手から日本一」を最初に実現させるのは俺たちだよ、と言わんばかりに。
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