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「昔はアイドルのコラボTが人気だったが」石川祐希、西田有志、髙橋藍…男子バレー“背番号Tシャツ”売り上げも絶好調? 実は即完な“あの選手”
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph byAFLO SPORT
posted2023/06/22 17:00
ネーションズリーグで無傷の6連勝中の日本代表(写真は髙橋、石川、西田)。名古屋ラウンドでは観客を魅了する“世界レベル”のバレーボールを展開した
XSから3XLまで幅広くサイズを揃えたのは、チームの中核を担う石川、西田、髙橋の3人で、当然売り上げで上位に名を連ねた。では、他の選手は?と言えば、あっという間に売り切れていたのが「背番号13」。リベロ小川智大のTシャツだった(サイズはM〜XL)。
試合にメインで起用されるのは活躍した山本智大だが、小川は今季Vリーグを制したウルフドッグス名古屋の守護神としてベストリベロを受賞した選手だ。特にサーブレシーブとボールコントロールの高さには定評があり、選手に話を聞く中でも「小川は圧倒的にバレーがうまい」と事あるごとに名前が挙がる。技術だけでなくコミュニケーション能力にも長け、ネーションズリーグ初戦のイラン戦でも石川がコート前方の空間を狙ったショートサーブでサービスエースをとった際、「ベンチの小川からアドバイスがあった」と明かしている。
小川も2021年にプロに転向した一人で、コミュニケーション能力の高さはファンに対しても発揮されてきた。YouTubeやInstagramでのライブ配信、オフィシャルサポーターズクラブの設立など、精力的に活動している。
自らのパフォーマンスはもちろんだが、ファンに向けた発信を含めたプロ選手としての活動が根強い人気へつながる一因となったのではないだろうか。
超満員だった北京五輪の最終予選
コミュニケーションツールも変わり、バレーボールの戦術もこの10年で驚くほどの変化を遂げた。今は今、前は前、どちらも別のものという前提のうえであえて比べるならば、男子バレー日本代表を取材する中で、過去イチと言えるほどの盛り上がりを見せたのが2008年の北京五輪をかけた最終予選だった。
当時の会場、東京体育館は連日超満員で、日本代表として出場した選手たちは「コートに入って、大勢の観客が詰めかけているあの景色を見ただけで足が震え、胸が高鳴った」と振り返ったほど。見たことがないほど多くのファンやメディアが見守る中、劇的な勝利で16年ぶりの五輪出場を決めた。
しかし本大会は5戦全敗。翌年以降、国際大会でなかなか勝てなくなると、自ずと客足も遠ざかっていった。