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5年前の新人王が“球速へのこだわり”を捨てた日…東克樹27歳が明かす、復活の理由「もうそういうタイプじゃなくなった」「宮城大弥投手を参考に」
posted2023/06/19 11:01
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph by
JIJI PRESS
新人王を獲得したころとは違う、まったく異なる投手に生まれ変わった。
「ええ、ぜんぜん別というか、自分はそうじゃないんだっていうか……。僕は今永(昇太)さんのような真っすぐで押すピッチャーじゃないと気づけたことが、自分を変えるきっかけになりましたね」
トミージョン手術を受け、昨季は1勝6敗
横浜DeNAベイスターズの東克樹は、まるで己を納得させるよう静かにそう言った。ほのかに覚悟と決意が滲む。
今シーズンの東は、ここまで9試合を投げ、6勝2敗、防御率2.52(6月19日現在、以下同)と先発ローテーションを任された投手としてチームトップの数字を残している。25年ぶりのリーグ優勝を目指し奮闘している今季のDeNAにとって、東の貢献度は非常に高い。
プロ6年目、振り返れば今日に至るまで、いろいろなことがあった。ドラフト1位ルーキーとして期待を背負った2018年は、150キロを超える強いストレートとスッと落ちるチェンジアップによる緩急を武器に11勝を挙げ、新人王を獲得した。しかしチームのキーマンと目された2年目は左肘の炎症により、わずか7試合しか投げられず4勝止まり。さらに翌年の春季キャンプでは肘の症状が悪化しトミー・ジョン(TJ)手術を余儀なくされてしまう。ハードラックといえる時間がつづく。
そして懸命のリハビリの末、2021年のシーズン終盤に待望の一軍復帰。仕切り直しとなった2022年シーズンは、開幕投手を任されるなど完全復活を予感させたが、結局真価を発揮することなく1勝6敗に終わってしまった。
真っすぐを速くしなきゃ
本格的な実戦復帰となった昨季、持ち味を生かせないピッチングをつづけてしまったが、東に一体なにが起こっていたのだろうか。