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シングルアクセル動画も話題…伊藤みどり(53歳)はなぜ“アダルト競技会”で輝き続けるのか? 浅田真央も「憧れの人」 コーチが明かした原点
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byJIJI PRESS
posted2023/05/25 11:01
2018年の「レジェンドオンアイス」で演技する伊藤みどりさん
「アルプスの少女ハイジみたいなタイプの選手」
「たまにテレビなどでみどりの映像を見ると、あのジャンプ力にあらためて驚いて『すごい選手だったなあ』と思うんです。野原を裸足で駆け巡る、のびのびとした、まるで、アルプスの少女ハイジみたいなタイプの選手でしたね。ただトリプルアクセルはやらせたわけではなかったです。練習していく中で本人もやってみようかという思いがあって、流れでという感じです」
「私は本来『普及型』の指導者。スケートを楽しんで、フィギュアスケートを愛する少年少女に育ってほしいという思いが根本にあります。でもそのためには努力しなければいけない。そうじゃないと喜びも楽しさもないと思うんです。みどりの場合も、しっかり基礎からやっていましたけれども、2人でがむしゃらにやっていたので……もう少し優しくしてやればよかったな(笑)」
ときに厳しく、「スケートを愛する少年少女に育ってほしい」という願いとともに受けた指導は、なお今日の土台となっている。
そして53歳の伊藤が演技を通じて伝えたことがある。人は歳を重ねる。しかし時間を経たからこそ、折々の輝きを放つことができる。表現を含むフィギュアスケートならではの特色を、改めて教えるかのような演技であった。
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