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『完全なる白銀』「なぜ山に登るのか――」永遠なる命題と現代的な問い。

posted2023/05/13 09:00

 
『完全なる白銀』「なぜ山に登るのか――」永遠なる命題と現代的な問い。<Number Web> photograph by Sports Graphic Number

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小林昂祐

小林昂祐Kosuke Kobayashi

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 かつてアラスカを旅したとき、デナリを遠望する機会を得た。物見遊山的な軽いノリで訪れたものの、万年雪をたたえた山塊が放つ圧倒的存在感に言葉を失った。抗うことを許さない自然への畏怖を感じると同時に、「こんな山を登るなんて、狂ってる」と登山者に対する賞賛と諦めに近い感情を抱いたのを覚えている。

 デナリは標高6190mを誇る北米最高峰の山。世界の屋根とも称されるエベレストの8848mと比較すると2000m以上も劣るが、より北に位置するため気温と気圧が低く、遮るもののない孤立した地形ゆえ天候が安定しにくく、さらにはヒマラヤでは一般的なシェルパ(ルート開拓や荷運びをサポートする山岳民族)の力には頼れず自力でしか登頂の道がないなど、登山者目線では非常に“条件が悪い”山だ。

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