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伝説のクラッシュ・ギャルズが復活! ライオネス飛鳥「あの時代があったからこそ」長与千種「経済効果100億円くらいって…」
text by
伊藤雅奈子Kanako Ito
photograph byShunichi Oda
posted2023/05/03 17:00
クラッシュ・ギャルズ結成から40周年、ライオネス飛鳥(左)と長与千種(右)が圧倒的人気を誇った当時の裏話を語る
千種 そもそもクラッシュって、会社からまったく期待されてなかったんだよね。お金もかけてもらえなかったし。そのせいか、反骨精神があったし、勢いもあった。すごいやつってさ、黙ってても光り輝いてくるんだよ。その輝きをたまたま自分たちは持ってたけど、心身ともにボロボロだった。この前ね、うちの選手の彩羽匠、桃野美桜たちと一緒に、ダンプ(松本)さんと大森(ゆかり)さんの引退試合を観たの。
飛鳥 川崎市体育館のね('88年2月25日のダンプ&大森組vs.長与&飛鳥組)。
千種 とんちゃんがさ、「(昭和)55年組にしかできないプロレスを、これから見せるぞ!」って言ったんだよね。これに選手たちが震えちゃって、「これだけの感情をぶつけられることがうらやましいです」って言うわけ。クラッシュをリアルタイムで知らない世代の感想がおもしろくて。
飛鳥 ほんとだね。必死だったよ、あのころは。
千種 必死だよね。常に車や飛行機で移動してて、爆睡して、起きたらどこかに着いてる。移動中にまた寝て……。
あのころのクラッシュには勝てないよね
飛鳥 夕方に試合会場に着いて、歌を歌って試合をする。それが終わったら、また芸能の仕事。私は'86年から2年近く芸能の仕事をリタイヤしてしまったけど、千種はその間もずっと1人でやってくれていた。心身ともに立ち直って、千種のコンサートのアンコールに出たとき、千種が「やっぱりクラッシュには勝てないよ!」って言ったの。覚えてる?
千種 覚えてるよ。
飛鳥 そのとき、申し訳ないことをしていたなっていう気持ちと、千種が感じたように、自分も客観的にクラッシュってすごいんだなって感じた。あのときの汗だらけの千種の顔が、今でも忘れられない。
千種 どれだけ今の自分ががんばろうとも“あの人たち”……あのころのクラッシュには勝てないよね。年齢を重ねれば重ねるほど、それは感じる。
飛鳥 でも、あの時代があったからこそ、今もライオネス飛鳥として生きていけている。“あの人たち”に、「よくがんばってくれたね。あの時代を引き継いで、今の人生もがんばるよ」って、お礼を言いたいよ。それぞれが時間を重ねた今、この2人が最強なんだなってよくわかった。
千種 敵はいないと思うよ。
飛鳥 あのころにわかってたら良かったのにね。
千種 そんな余裕はなかったよ。
飛鳥 客観視できなかったもんね。
千種 できない、できない。ずっと忙しいから、当たるところがなくて。憎んでるわけでもないのに、マネージャーにさえ腹が立ってた。移動中はずっと寝てて……。