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「PGAツアー対LIVゴルフ」マスターズが“異様な雰囲気”にならなかったのはナゼ? 選手の本音「メディアで必要のないことが…」
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph byGetty Images
posted2023/04/14 17:01
今年も多くのギャラリーを魅了して閉幕したマスターズ。ツアーの分裂抗争に話題が集中するが、世界最高峰の選手が集まる価値を改めて提示した大会だった
いずれにしてもケプカやミケルソンのプレーぶりは“今のところ”健在で、「やっぱり見たい!」と思わせてくれる力があることは証明した。PGAツアーとLIV、どちらが優れているかという話題はしばらく続くはず。
そう考えると、両団体の争いの行く末はまだ分からないが、このぶつかり合いで仮に勝者がいるとすれば、それはマスターズであり、他のメジャー大会のような気がしてならない……。4大会は選手の所属団体を問わず、出場資格はLIV誕生以前のものをキープした。結果的に、やはりトップクラスの選手が集結するメジャーの価値がおのずと上がったのではないか。ツアーが分断されようとも、真のナンバーワンを決める争いの舞台としていっそう確固たるものになった。
コンディションに不安を抱えていた松山
少なくとも外野では様々な思惑が交差したオーガスタで、松山英樹は16位タイという結果だった。最終日は第3ラウンドの残りから25ホールを回る長丁場。午後の最終ラウンドは最終組の2つ前の組、首位に6打差5位からのスタートといった具合だったから、失速が残念ではある。
本人が嘆いたのが、コンディションの整備不良。懸念されていた首や手首の痛みへの不安を払拭できなかった。
身体が健康ならばスコアも良いかというと、そうでもないからゴルフは難しい。寒々しかった最終日の朝、松山はスピードを落としてスイングを続けた。痛みを避けるようにして回った第3ラウンドの残り7ホールで3バーディ、ノーボギー。引き続き行われた最終ラウンドは「思い切り振れていた」にもかかわらず、2バーディ、5ボギーと後退したから納得いくはずがない。
一方では年明けからこの3カ月間、“よく持った”という見方もできる。約1年前に深刻になった首の状態は昨年末のオフも完全には癒えなかった。ことし1月、例年通りハワイシリーズに飛び立つ直前の顔も不安そうで、マスターズの前に一時帰国することもありうる……と感じさせるほどだった。