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[228ゴールを生み出した男]ティエリー・アンリ「無敗優勝への至高の一撃」
posted2023/04/14 09:03
text by
田邊雅之Masayuki Tanabe
photograph by
AFLO
今も語り継がれる無敗優勝の立役者は、間違いなくこの男だった。'04年4月、リバプールとの大一番ではチームを窮地から救った。前所属クラブでウインガーだった男は、なぜアーセナルで得点感覚も、アシスト能力も、守備への献身性も持ち合わせたクラブ史上最高のストライカーに変貌したのか――。
「ハイバリー全体が、あんなにクレイジーに盛り上がるのを見たことはなかった。スタジアムが崩れるんじゃないかと思ったよ。
アーセナルでゴールを決めるといつも鳥肌が立つけど、あのゴールは特にすごかった。タイトルレースでの望みもつないでくれて、プレミアでそのまま首位の座をキープすることができたわけだから」
2004年4月9日、プレミア第32節。リバプールをホームに迎えた試合で、ティエリー・アンリはハットトリックを達成した。とりわけ後半開始5分に決めた2点目は、自身のキャリアを通じて、最も手応えのあるゴールの一つとなった。
アンリのように物腰の洗練された人物が、熱っぽい口調で振り返ったのには理由がある。本人が述べたように、このゴールはアーセナルというクラブ全体にとっても、決定的に大きな意味を持っていた。
世界で最も過酷とされるプレミアリーグの戦いを負け無しで乗り切り、イングランドでは約1世紀ぶりとなる無敗優勝を成し遂げる。そんな2003-'04シーズンのアーセナルのキーマンを一人挙げるとするなら、やはりアンリになるだろう。