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パリ世代欧州遠征で“アピール成功の7人”は誰? 大岩監督が「その場凌ぎになってはいけない」と語ったベルギー戦の“深い思惑”

posted2023/03/31 11:05

 
パリ世代欧州遠征で“アピール成功の7人”は誰? 大岩監督が「その場凌ぎになってはいけない」と語ったベルギー戦の“深い思惑”<Number Web> photograph by Mutsu Kawamori

ベルギー戦で追撃のゴールを決めた佐藤恵允。結果は1分1敗だが、この遠征はパリ世代にとって大きな経験となったはず

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飯尾篤史

飯尾篤史Atsushi Iio

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Mutsu Kawamori

 お遊びではなく、いかに本番を想定して臨めるか――。

 3月27日のU-21ベルギー代表(23歳以下のチーム)戦後に行われたPK戦のことである。

 カタールW杯のラウンド16でPK戦の末にクロアチアに敗れると、日本サッカー協会の反町康治技術委員長はPK戦強化の方針を打ち出した。

 そこで今回、6月にU-21欧州選手権を控えるベルギーとの思惑が合致してPK戦が実行されたわけだが、ベンチ前の選手が「パネンカ!(チップキック)」と叫ぶなど、緩んだ雰囲気のベルギーに対し、日本の選手たちは真剣そのものだった。

「試合に負けてしまったので(●2-3)、ここは絶対に勝とう、と話して入りました。あいつら調子に乗っているから、ここで黙らせてやろう、と」

 そう振り返ったのは、この日キャプテンマークを巻いた横浜F・マリノスの藤田譲瑠チマである。

 先攻のベルギーは1人目(なんとGK)と5人目が枠外となるミス。一方、日本は3人目の山田楓喜(京都サンガF.C.)こそ相手GKのセーブに遭ったが、山本理仁(ガンバ大阪)、細谷真大(柏レイソル)、西川潤(サガン鳥栖)、藤田の4人がネットを揺らした。

ベルギー戦、後半が興味深かった理由

 それにしてもこのベルギー戦、とりわけ後半は興味深いゲームとなった。

 前半、3-4-2-1のベルギーに対して4-3-3の日本は噛み合わせのミスマッチを突かれ、攻撃でも守備でもほとんど何もできないまま2点を先攻された。この先、何点取られるのかと心配になるほど、一方的な展開だった。

 そこで日本は後半、各々のマークする相手をはっきりさせるため、FC東京のセンターバック・木村誠二を送り出して3-4-2-1に変更する。

 ところが、ベルギーはハーフタイムを挟んで4-3-3に変えてきた。すると、藤田が「4-3-3だぞ!」と叫び、3-4-1-2気味にシフトチェンジして相手のセンターバックとアンカーを封じにいく。

「(3日前の)チェコ戦でもベルギーは後半から4-3-3にしていたので、それも考えながら後半に入ろうという話はしていました」と藤田が明かす。

 さらにボール保持時には両ウイングバック、V・ファーレン長崎の加藤聖とデュッセルドルフの内野貴史が高い位置を取り、ベルギー攻略を狙う。

「誠二が入って3枚にしたんで、『3-2-5みたいなイメージでやろう』と譲瑠と話していたんです」

 後半からピッチに立ったボランチの山本が説明する。

「譲瑠とは(東京)ヴェルディ時代に3-2-5のフォーメーションでやっていたことがあるんで、ハーフタイムに『2人でスライドしながら、受けられるほうが受けて』みたいな感じで話していた」

 その後、ベルギーが4-4-2気味に変更すると、日本も4-4-2のようにして対抗していく。このあたりの対応力は見事だった。

【次ページ】 後半に盛り返した要因と、現状での差

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