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なぜ投手・大谷翔平はWBC準々決勝が“ラスト”なのか? メジャー担当記者が解説する“MLBの掟”「球数や登板間隔を球団が細かく管理」
posted2023/03/16 11:08
text by
四竈衛Mamoru Shikama
photograph by
Naoya Sanuki
第5回WBCで世界一奪回を目指す侍ジャバンにとって最大のヤマ場とも言える準々決勝のイタリア戦に、大谷翔平が登板することが確実となった。
エンゼルス監督が明かした“準々決勝がラスト登板”の方針
米アリゾナ州でエンゼルスのフィル・ネビン監督が「翔平が準々決勝で投げれば、何が起こったとしても、こっちで金曜日(24日)に投げられる」と話したもので、WBC終了後は24日のオープン戦に登板し、中5日で30日の開幕戦(アスレチックス戦)へ備えるプランを明かした。このため、大谷はマイアミで行われる決勝ラウンドの準決勝、決勝には登板しない方針が明らかになった。
もっとも、今回の大谷起用法は、エンゼルスが一方的に決定し、侍ジャパンに要請したわけではない。大谷が出場意思を表明して以来、エンゼルスのペリー・ミナシアンGMは「翔平が望むことであれば、何でも協力したい」と、全面的にサポートする姿勢を明かしてきた。実際、2月のキャンプイン前には、栗山英樹監督らと緊密なコミュニケーションを取りつつ、「すべて彼と日本の首脳陣に任せる。私は何も心配していない」と、基本的には侍ジャパンと大谷主導で起用プランを最終決定するとの考えを示した。
準々決勝の大谷とダルビッシュを起点にローテ作成?
今回、侍ジャパンの先発ローテーションが、どのような経緯で決まったのかは、現時点では定かではない。ただ、これまでの発言からも、栗山監督ら首脳陣は、米国行きをかけた準々決勝を最重要試合と位置付け、ローテーションを編成したものと見られる。その結果、最終的に大谷とダルビッシュ有の2枚看板を一気に投入する必勝策が固まった。確かに、メジャーリーガー2投手を準決勝、決勝に回すプランも選択肢のひとつだったかもしれない。だが、準々決勝以降は、負ければ終わりのトーナメント。ジョーカー2枚を切る前に負けるわけにはいかない。裏を返せば、万が一、この2人で負けたとしても悔いは少ない。