酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
「ヌートバー.429 近藤健介.467 大谷翔平.500」超高打率、実は村上宗隆も出塁率が…下位打線と投手陣も◎〈侍ジャパン1次R成績〉
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byCTK Photo/AFLO
posted2023/03/15 11:00
抜群の成績を残すヌートバー、大谷翔平、近藤健介。侍ジャパンの1次ラウンド成績を振り返る
ほぼ完璧なリリーフに“吹田の主婦”山崎が追加招集
〈救援投手〉
高橋宏斗2試0勝0敗0S0H 2回0球3振 率4.50
宇田川優希2試0勝0敗0S1H 1.1回0球3振 率0.00
湯浅京己2試0勝0敗0S1H 2回1球3振 率0.00
伊藤大海1試0勝0敗0S0H 1回0球2振 率0.00
松井裕樹1試0勝0敗0S0H 1回0球1振 率0.00
大勢1試0勝0敗0S0H 1回0球1振 率0.00
高橋宏斗がオーストラリア戦で一発を食らっただけで、あとは無失点。四球も1つしか出していない。ほぼ完ぺきな出来だ。強化試合まではWBC公認球への対応が不安視された松井裕樹も韓国戦で無失点に抑えた。この顔ぶれは盤石だ。
しかしながら唯一登板していなかった栗林良吏が腰の張りを訴え、戦線離脱が発表された。チェコ戦で宮城大弥が5イニングのロングリリーフでセーブがついたのは、おそらくこの「台所事情」があったからだろう。
予備登録選手から、オリックスの山崎颯一郎が招集された。同じく予備登録の田中将大が加入を切望していたようだが、これは仕方のないところだ。“吹田の主婦”の愛称を持つ山崎は昨シーズン、先発から救援に回って活躍した。155km/h超の速球とフォーク、ナックルカーブを駆使する。セットアッパーとしてこれまでの侍に遜色のない活躍をするだろう。
ヌートバー、近藤が出塁するから大谷が生きる
【打線】
上位5番までは固定されている。
ヌートバー 4試合14打数6安打0本塁打3打点2盗塁4四球1死球3三振 率.429
近藤健介 4試15打7安1本5点0盗5球5振 率.467
大谷翔平 4試12打6安1本8点1盗7球3振 率.500
村上宗隆 4試14打2安0本2点0盗5球7振 率.143
吉田正尚 4試12打5安0本8点0盗2球3死0振 率.417
打率もさることながら、ヌートバー、近藤の2人で13安打9四球と4試合で22回も出塁している。さらにヌートバーは中堅手としてもダイビングキャッチを2回もしている。栗山英樹監督もヌートバーがここまで機能するとは思っていなかったのではないか。
1、2番にここまで出塁されると、大谷と勝負しないわけにはいかなくなる。その結果として大谷は打率5割、8打点と、これも強烈だ。この3人の活躍に埋もれてしまいがちだが、5番の吉田も8打点。これはプールBでは最多打点である。吉田は向かっていく姿勢もあってか3死球も記録している。
そんな中で村上宗隆のバットが湿っている。この4試合で2回、大谷翔平が申告敬遠され、村上が勝負した。三冠王としては屈辱的なことではある。ただ、それでも村上は5四球を選んでいるとも言える(出塁率は.350)。不振の中で「自分は何をすべきか」としっかり理解していると言えよう。昨シーズンも55本塁打を打ってから、王貞治の記録を抜く56本を打つまでに長いスランプがあった。これを克服することが、次のステージにつながる。幸いにも打線は好調だ。村上がキャッチアップできる可能性は大いにあると思う。
下位打線も“第2の上位打線”のような働き
続いては、下位打線と控え選手。