「おそらく今のアーセナルで、冨安がもっとも守備者らしい選手だ。特に1対1の強さはチーム1だろう。空中戦でもものすごくタフだから、見ていて安心するよ」

現役時代のマーティン・キーオン。アーセナルで3度のプレミアリーグ優勝を経験。アダムス、ディクソン、ウィンターバーンとともに当時アーセナル守備陣は「フェイマス4」と呼ばれた　©Getty Images

　フットボールでも、時に運が物事を大きく左右するものだ。冨安はアーセナルで、一度も期待外れに終わったことはないし、多くのレジェンドや識者に高く評価されている。タイミングの悪い負傷さえなければ、今頃、昨季と同じように彼が最終ラインの右を任され、首位を快走するアーセナルの主力のひとりになっていたはずだ。しかし開幕に間に合わなかった冨安の代役を見事に務めたホワイトがそのまま定位置を確保し、チームはプレミアリーグにおけるクラブ史上最高の前半戦を送った。

　好調のチームには変化を与えないことがセオリーだ。策士アルテタも、少なくとも今のところは、そう考えているようだ。だがこの後も順風満帆に進む保証はない。その時にはまた冨安にチャンスが巡ってくるかもしれない。

＜続く＞