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オズワルドも見取り図もいないM-1は“波乱”回になるか…「初出場5組」で優勝候補は? 麒麟・川島さん絶賛「YouTubeで1000回見た」コンビとは
posted2022/12/01 17:28
text by
鈴木工Takumi Suzuki
photograph by
M-1グランプリ事務局
オズワルド、2度決勝経験のあるミキ、今年のキングオブコント王者ビスケットブラザーズなど実力者が敗退するなか、優勝候補はどのコンビなのか?
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11月30日、M-1グランプリ2022の準決勝が行われ、9組のコンビが決勝進出を果たした。過去、決勝に進んだことがあるのは、ロングコートダディ、さや香、真空ジェシカ、ウエストランドの4組。昨年の大会に続いて5組が初の決勝進出となった。初進出組はどんな漫才師なのか――。
3年連続で準決勝に進出した常連コンビが、【1】カベポスターだ。素人時代にNHK「着信御礼!ケータイ大喜利」で活躍していた永見大吾のセンスが先行して注目されていたが、浜田順平の「いぶかしげな表情」「しゃしゃり出ないツッコミ」も日を追うごとに洗練。今年のABCお笑いグランプリを、漫才の中にエモい物語を忍ばせる名作「大声大会」で制覇し、松本人志も「安定の面白さ」とツイートした。
特上のネタを使ってしまったことでM-1のネタが出涸らしになるのでは……という余計な心配をよそに、9月の単独ライブでは同系統・同レベルの強いネタをこしらえてきた。渾身の勝負ネタでいよいよ全国区に躍り出る可能性は高い。
【2】キュウも同じく3年連続の準決勝進出。ボケのぴろがひたひたと話を進め、それに耳を傾けるツッコミの清水誠の表情が徐々に険しくなっていく――。ネタのシステムを明かす中盤まで笑いが起きないことも多々あるが、言葉の曲芸で客をじわじわ巻き込んでいく展開は圧巻だ。その漫才に魅入られた麒麟・川島は、キュウのネタ「思い出の話」を「YouTubeで1000回は再生した」と絶賛。各種配信サイトでこれまでの単独公演がのきなみ見られるので、その世界に溺れたくなったら一気通貫でチェックできるのも嬉しい。
昨年のM-1で敗者復活戦3位と健闘したのが【3】男性ブランコ。大学の演劇サークルを通して出会い、ラーメンズファンという生粋のコント体質ながら、大阪よしもとでサバイブしてきた来歴から漫才もこなせる。研きに研かれたキレキレの二刀流だ。コントライブをアートセンターや水族館などで開催し、瀟洒でシュールな雰囲気を漂わせつつ、ここぞという時にベタな笑いも取れるのが最大の強みである。