Sports Graphic Number SpecialBACK NUMBER

['03年ノンフィクション]舞台裏から見た至高の三つ巴対決 フットボールアワー/笑い飯/アンタッチャブル

posted2022/12/01 07:03

 
['03年ノンフィクション]舞台裏から見た至高の三つ巴対決 フットボールアワー/笑い飯/アンタッチャブル<Number Web> photograph by M-1 GRANDPRIX

text by

増田晶文

増田晶文Masafumi Masuda

PROFILE

photograph by

M-1 GRANDPRIX

2003年12月28日。のちに、“前期M-1史上一番の激闘”と言われる戦いの幕が切って落とされた。フットボールアワー、笑い飯、そしてアンタッチャブル――。頂上決戦を繰り広げる漫才師と、一喜一憂する関係者たち。現場にいた作家が、19年前の彼らの“熱”をここに記す。

 当時の有明は、建設予定地に繁った背の高い雑草が目立つ殺風景な場所だった。

 ところが12月28日の夜、M-1グランプリ2003が開催された「パナソニックセンター有明スタジオ」だけは様相が違っていた。総ガラス張りの建物は光彩ばかりか、ただならぬ熱気を放っている。

 会場に入ると正面に市松模様のステージ、右に司会者台が置かれ今田耕司、西川きよし、小池栄子が進行台本をめくっていた。

 放送開始まであと20分ほどしかない。

 当時、私は「大阪の笑い」をテーマにした書籍を執筆するため取材を続けていた。プロダクションのスタッフだけでなく、若手芸人の舞台に接し、彼らの生の声にも耳を傾けている。M-1は既に、お笑い界最大のイベントとして存在感を増しており、ぜひとも取材したいイベントだった。

 下馬評では、本命にフットボールアワーを推す声が多かった。彼らは第1回から連続出場を果たし、6位、準優勝とステップアップしている。'03年は優勝を誓って話芸を磨いた一年となった。劇場では先輩たちを押しのけて爆笑を独占し、M-1予選の3回戦、準決勝とも独走といっていい出来ばえだった。吉本幹部や劇場関係者も「眼の色が違ってきた」「若手で一番のしゃべくり漫才」と太鼓判を押している。

こちらは雑誌『Number』の掲載記事です。
NumberWeb有料会員になると続きをお読みいただけます。

残り: 4825文字

NumberWeb有料会員(月額330円[税込])は、この記事だけでなく
NumberWeb内のすべての有料記事をお読みいただけます。

関連記事

フットボールアワー
笑い飯
アンタッチャブル
岩尾望
後藤輝基
千鳥
ノブ
大悟
りあるキッズ
スピードワゴン
麒麟
2丁拳銃
アメリカザリガニ
川島明
田村裕
柴田英嗣
山崎弘也
小川祥二
哲夫
西田幸治

他競技の前後の記事

ページトップ