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「プレッシャーも凄かったはず」フワちゃんデビュー戦で見えた“プロレスへの本気度”…師匠が明かす舞台裏「100点満点。努力の成果です」 

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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photograph byNorihiro Hashimoto

posted2022/10/24 17:01

「プレッシャーも凄かったはず」フワちゃんデビュー戦で見えた“プロレスへの本気度”…師匠が明かす舞台裏「100点満点。努力の成果です」<Number Web> photograph by Norihiro Hashimoto

10月23日、スターダムにてデビュー戦を迎えたフワちゃん

舞台裏では「プレッシャーも凄かったはずです」

 芸能界の“プロレスおじさん”有田の助言も大きかったという。WWEの動画を参考に「こういう(華やかな)技がやりたいんです」と言ったら、有田に「バカ言うな。調子乗るなよ」と返された。そして勧められたのが、小橋建太vs.佐々木健介の映像を見ることだった。2005年、プロレスリング・ノア東京ドーム大会での伝説の一戦。小橋と健介は得意のチョップを200発以上繰り出し合った。

「シンプルな試合なのに魂が揺さぶられて。有田さんはこういう試合をしてほしいって。プロレスファンが魂を揺さぶられるのは技もあるけど、それより気持ちなんだなっていうのを理解できました」

 小橋vs.健介を見て「チョップが凄い」、「パワーが凄い」以上に「プロレスファンは気持ちの部分を見ている」と思える。これがプロレスラーのセンスでなくて何だろうか。人気タレントとしてのハートの強さ、それに勘のよさ。それがプロレスという独自のジャンルと見事な出会いを果たしたのだ。試合を見ると身体能力も高そうだ。

 加えて葉月は「やっぱり本人の努力の成果だと思います」。フワちゃんは一般の人たちに比べると体力があるほうだという。

「だけどプロレスで求められる体力はまた別というか。たとえばロープワークもただ走るだけじゃない。ロープに当たると痛いんです。受身もそう。痛みに耐えながら速く、正確に動く。それは練習しないとできないこと。フワちゃんはテレビやYouTubeで人気ですけど、プロレスデビューが今までで一番の反響だったって言ってました。プレッシャーも凄かったはずです。それを乗り越えるためには練習するしかなかった」

タレントであり、“新人プロレスラー”だった

 道場で限界まで練習して、プロレスについて考えられるだけ考えた。フワちゃんがデビュー戦のリングで見せたのは、単にセンスや才能でできることではなかった。だからなおさら、2戦目以降に期待したい。

 プロレスの世界では、有名人が短期間だけ練習して技をいくつか披露し、それをもって“プロレスデビュー”とする場合もある。2戦目はない。フワちゃんをその類だと思っている人もいるだろう。だが実際に試合を見ると、話題性を差し引いても十分すぎるくらいの大器であり大型新人だ。売れっ子タレントだけに簡単ではないかもしれないが2戦目、3戦目と試合を重ねてほしい。

 試合をして、たくさんの人に見られて、フワちゃんのプロレスに対する姿勢がより広く伝われば、偏見は間違いなく消えていく。筆者はそう確信する。

 自分の試合が終わり、『行列』の取材とメディア向けコメントも終えて、それからフワちゃんは当日2試合目となる葉月のセコンドについた。いわば“普通の新人としての仕事”だ。そうして試合後の葉月に「ありがとうございました。最高の師匠です。またよろしくお願いします」と挨拶をして『行列』のスタジオ収録に向かった。会場を出る時点でフワちゃんが着ていたのは、おそらく収録用の衣装だ。それくらいギリギリの時間まで“新人プロレスラー”として会場にいたのである。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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