村上のスラッガーとしての1番の特長はグラウンドを90度の広角で使えることだ。ライトスタンドに引っ張った打球はもちろん、センターから左方向にもしっかりとボールをつかまえて、“逆方向に引っ張った”強い打球を打てる。

　松井さんの逆方向への本塁打のほとんどが、少し振り遅れて左方向に飛んでいってしまった打球だったが、村上の打球にはきちんとした意思がある。

　そこが松井さんが日本でついに乗り越えられなかった55本の壁を、村上があっさり乗り越えた理由だった。

”背番号55”の遭遇と継承

　そんな2人が10月12日のセ・リーグ、クライマックスシリーズ、ファイナルステージ第1戦の舞台で遭遇する。

　12日の第1戦で松井さんがBSフジテレビの野球中継の解説者として神宮球場を訪れるのだ。中継では松井さんが日本で最後となる50号を放ったときのヤクルト・五十嵐亮太投手、古田敦也さんと解説をするので、当然、そのときの話も出るはずだ。ただやはり1番の注目はナマで初めて村上の打撃を観る松井さんの目に、背番号55の“継承者”の姿がどう映るのか。どう村上の打撃を解説するかである。

　松井さんは16日の第5戦でも同じフジテレビ地上波の野球中継で解説を担当。この2試合で村上が一発を決めれば――松井さんから村上へ、まさにその瞬間が背番号55の「継承式」となる。

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