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「好きな選手はメッシ! サッカーなら170cmでも世界トップで活躍できる」バスケ日本代表・富樫勇樹が考え続ける“身長”という才能
posted2022/10/19 11:00
text by
渋谷編集室 with ABEMASports Graphic Number with ABEMA
photograph by
Yuki Suenaga
――富樫選手は小学1年生の頃にバスケットを始めたそうですが、サッカーの経験は?
富樫 両親がバスケットをプレーしていて、お父さんはいまだにコーチなので、僕にはバスケ以外の選択肢がなかったんです(笑)。むしろ僕は、「サッカーをやりたい」と言っていたそうです。だから小学生の頃は、授業の合間の休み時間も、昼休みも、雨さえ降っていなければ、いつも友達とサッカーをやっていました。
――YouTubeの企画で、槙野智章選手(ヴィッセル神戸)とPKで対決していましたが、サッカーもかなり上手でした。
富樫 いやいや、もうかなりブランクがありましたからね。子供の頃は、サッカーを習っていないわりには、上手な方だったかもしれません。僕は右利きで、バスケは右手でボールを扱うんですが、なぜかサッカーは左利き。リフティングも左足だけでやります。右はポンコツです(笑)。
――遊びでサッカーをやることで、バスケットに生きた部分はありますか?
富樫 味方が走るスピードに合わせて、スペースにパスを出す感覚は、バスケとサッカーで似ているかもしれません。「ドリブル」も共通するプレーですけど、僕には難しかった。サッカーの場合は、ファウルの基準がバスケよりも緩い。守備者が体をぶつけたり、手を使って守ることもあります。だから、相手の重心を見ながら抜くというレベルまではいかなかったですね。
身長167cmの可能性
――もし幼い頃からバスケットではなくサッカーに専念していたら、現在はどうなっていたと思いますか?
富樫 きっとヨーロッパでプレーして、今よりもたくさんお金を稼いでいると思います。これは間違いない!(笑) というのもサッカーならば、僕の身長(167cm)でもより勝負できるからです。現在のNBAの平均身長は、およそ200cm。170cm台の選手すら、ほとんどいません。リングが高い位置にある競技だから、背の高い選手が有利なのは当然のこと。動けることが前提ですけど、身長が高いことも才能の1つだと思うんです。それを受け入れながら、自分には何ができるのかを考えながらプレーし続けてきました。
一方のサッカー界では、170cm前後の身長でも世界のトップレベルで活躍している選手がたくさんいます。久保建英選手(173cm)や堂安律選手(172cm)がそうですし、特にリオネル・メッシ選手(169cm)は大好きです。あの身長で、あれだけ観客を魅了できる。僕はバスケット雑誌のインタビューでも「好きな選手はメッシです!」と答えたくらいですからね。今回のカタール・ワールドカップでも、メッシ選手のプレーを楽しみにしています。