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「やっぱり紗理那はショートが一番いい」古賀紗理那が世界バレー直前に髪を切った本当の理由「かわじい、見守ってくれていますよね」

posted2022/09/28 11:03

 
「やっぱり紗理那はショートが一番いい」古賀紗理那が世界バレー直前に髪を切った本当の理由「かわじい、見守ってくれていますよね」<Number Web> photograph by FIVB

キャプテンとしてバレーボール女子日本代表を牽引する古賀紗理那(26歳)。世界選手権を前に、伸ばしてきた髪をバッサリ切った

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田中夕子

田中夕子Yuko Tanaka

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FIVB

 気合ではなく、愛。

 バレーボール世界選手権に向けた欧州遠征が始まる前日、古賀紗理那はのばしてきた髪を短く切った。キャプテンとして臨む大会への決意表明、と見られることが多いが、ショートヘアにしたかった理由は別にある。

「かわじいが大好きだったショートで、世界選手権、頑張ります」

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 9月23日に開幕した世界選手権のちょうど1カ月前の8月末、祖父が永眠した。

 幼い頃からおじいちゃん、おばあちゃん子だった。中でも「大好きなじいちゃん」とメディアなどで公に話してきた祖父。古賀曰く「かわいいじいちゃんだから、“かわじい”」と嬉しそうに話してきた祖父との別れ。

 成人式に向け髪を伸ばすと「ロングもいいね」と細い目をさらに細めながらも、短くすれば「やっぱり紗理那はショートが一番いい」と嬉しそうに笑ってくれる祖父が、何より大好きだった。

 そして、くじけそうになる時、嫌になる時。「頑張れ」とは言わずに、原点に引き戻してくれたのも祖父だった。

19年W杯の不調「感覚がしっくりこない」

 東京五輪が迫る2019年に日本で開催されたワールドカップ。その前年、18年の世界選手権ではエースとして覚醒した姿を見せていたのとはまるで別人のように、古賀は不調に喘いでいた。

 狂った歯車の理由は明確。求められる速さが確立できず、スピードばかりを意識すれば打点が低くなり、通過点が下がれば相手ブロックにつかまる。サーブレシーブでも受数が多い中、レシーブの返球も速さが求められるため、十分な準備ができない状況で攻撃に入らなければならず、力も乗らない。

 効果率、決定率と目に見える数字でも不調は明らかで、試合に出てもすぐ交代させられる。試合後のミックスゾーンで語る自身に向けた反省の弁は、いつも不安と不満が溢れていた。

「感覚が全然しっくり来ないし、打てていないのを自分がよくわかっているんです。高さを出さなきゃ、でも速く、と焦るばかりでポイントがつかめない。試合に出ても決まらないからすぐ交代させられるし、そうなると余計、どうすればいいのかわからない。正直、オリンピックのこととか、このままじゃ全然考えられないです」

 チーム成績も伴わず、出場機会も限られる。次の代表に選ばれないかもしれない、と大会を終えた後は半ば本気で考えていた。むしろ「それでもいい」と思うことすらあった。

 再び前を向かせたきっかけは、思わぬところで生じた。

【次ページ】 「頑張れなんて言わんでよか」

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